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熱海土木、歴代担当を県聴取 地権者交渉「記憶ない」多数 砂防規制放置問題

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡る砂防規制放置問題で、静岡県は4日までに、熱海土木事務所で逢初(あいぞめ)川の砂防規制を担当していた歴代職員12人へのヒアリング結果を明らかにした。国が規制に必要とする同意取得のために地権者と接触したかという問いに10人が「記憶にない」と答え、2人は接触していないとした。県の調査では地権者との交渉記録も残されておらず、県が地権者の意向を確認しないまま規制を放置していた疑いが強まった。

砂防規制を担当した県職員へのヒアリング結果。回答欄に「記憶にない」が並んでいる
砂防規制を担当した県職員へのヒアリング結果。回答欄に「記憶にない」が並んでいる
逢初川上流の砂防規制見送りの経緯
逢初川上流の砂防規制見送りの経緯
砂防規制を担当した県職員へのヒアリング結果。回答欄に「記憶にない」が並んでいる
逢初川上流の砂防規制見送りの経緯

 ヒアリング結果によると、上流全体の規制に向けて地権者と接触していたかという質問に対し、過去約20年間に担当した大半の職員が「記憶にない」「引き継ぎもない」と答えた。県は具体的なヒアリングのやりとりは明らかにしていない。
 ヒアリングは県砂防課が7月5~14日に電話や対面で実施した。対象は国に砂防規制を申請した1998年度から土石流発生時の2021年度までの同事務所企画検査課職員。県は当初、「熱海土木事務所内で誰が砂防規制を担当していたのかよく分からない」という理由でヒアリングしていなかったが、方針転換した。
 ただ、今回もヒアリング対象に、逢初川上流域の開発計画を所管していた用地管理課や、施設整備を担う工事課の職員は含まれていない。98年に国への規制申請文書を作成した当時の工事課の職員は16年に退職し、連絡がつかないという。
 同事務所と別に、砂防規制に関する国とのやりとりで窓口になった本庁砂防課の歴代職員14人にもヒアリングを実施した。98年の規制申請時に国とやりとりした職員は「覚えていない」と回答し、以降の13人も「記憶にない」としたという。
 県の難波喬司理事は「『記憶がない』ということなので、それ以上は申し上げられない。実際に交渉したのかは分からない」と説明している。

 

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