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熱海土石流 静岡県提出文書「不十分」 原告側、弁論準備手続きで

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、遺族被災者が起点となった土地の現旧所有者や県、市に損害賠償を求めた訴訟の弁論準備手続きが19日、静岡地裁沼津支部であった。原告側は、県が裁判所に提出した文書は不十分だとして、起点の周辺を含めた開発の経緯に関する全ての公文書の提出を強く求めた。
 協議は非公開。県はこれまでにホームページで公開している公文書のうち、崩落した盛り土部分に関する2006年以降の文書の黒塗りを一部外して提出していた。ただ、2006年以前に行われた崩落部北側の宅地造成などに関する文書は提出していなかった。
 原告代理人の加藤博太郎弁護士は協議後の取材に、「県は訴訟が始まる前は被災者に寄り添う姿勢を示していたが、被告になったら消極的になった」と主張。「全ての資料の開示を受けないと責任を立証できない。資料を出す出さないで時間を取られているのは問題だ」と述べた。
 協議に出席した遺族の小磯洋子さん(73)は「本当のことを全て明らかにしてほしいだけ。これ以上、私たちを痛めつけないで」と訴えた。被災者の関沢浩さん(56)も「行政は組織を守らずに住民を守るべきだ」と不満をあらわにした。
 これに対し、県の担当者は、開示を求める文書の特定とともに「文書送付嘱託を裁判所に申し立ててほしいと原告に伝えた。それに対しては誠実に対応したい」と述べた。

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