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熱海土石流の復興計画「見直し必要」 熱海市と静岡県に被災者有志ら改定案

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流の復旧復興と原因究明を目指す被災者有志と専門家が17日、市役所で市と静岡県の幹部と面会し、市復興まちづくり計画の改訂案を提出した。現行計画では用地買収が難航し、復旧復興に向けた整備事業が進まないとして見直しの必要性を訴えた。

熱海市伊豆山の復興まちづくり計画改訂案を提出する被災者有志=17日午後、市役所
熱海市伊豆山の復興まちづくり計画改訂案を提出する被災者有志=17日午後、市役所

 現行計画は、土石流で被災した逢初(あいぞめ)川の中下流域で、県が河川拡幅の工事を行い、市が川の両岸に幅4メートルの市道を整備する事業。用地買収が3割止まりの現状を踏まえ、改訂案では、地下水路となる暗渠(あんきょ)部分を増やしたり、市道の一部を河川の上に張り出す工法を採用したりして、整備事業に必要な用地を最小限に抑えるべきだと主張した。
 東日本大震災の復興事業に携わった土木設計エンジニアの清水浩さんが、被災者の意向調査を基に改訂案をまとめた。現行計画の整備事業について「被災者の帰還率を下げる要因になっている。家が建たずに空き地に近い場所が多くなり、健全な街になるかどうか懸念される」と指摘。用地買収に関しては「地権者交渉の回数が足りない。同意を得たいのであれば、相応の資料の作り込み、説明が必要だ」と話した。
 改訂案を受け取った市観光建設部の程谷浩成部長は「今回の意見を受け止め、改善すべき点は改善する。合意形成を図っていく」と述べ、県熱海土木事務所の日野原武次長は「被災者の方々に丁寧に説明し、ご協力をお願いする」とした。
 (熱海支局・鈴木文之)

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