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特集 : 熱海土石流災害

盛り土規制 国の有識者検討会 砂防法を含めず議論 逢初川上流の課題、検証されず 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模土石流災害で、盛り土規制の在り方を提言した政府の有識者検討会が、逢初(あいぞめ)川上流域の規制見送りが問題になっている砂防法を議論の対象にしていなかったことが28日までの取材で分かった。事務局の内閣府が会議資料として提示した七つの関係法令に砂防法を含めていなかった。地権者の私権制限の在り方など砂防規制を巡る課題が検証されておらず、同じ問題が繰り返される恐れがある。

国の有識者検討会で配られた関係法令の資料。自然公園法などを列挙する一方、砂防法は記されていない
国の有識者検討会で配られた関係法令の資料。自然公園法などを列挙する一方、砂防法は記されていない

 有識者検討会は盛り土の災害防止を目的に昨年9月から12月にかけて非公開で4回開催。事務局は第1回会合で「盛り土等に関する規制について」と題した会議資料を配布していた。資料は、規制に関係する法律別に規制対象や罰則などが整理され、検討会が昨年12月にまとめた提言にも添付されていた。
 資料に関係法令として示していたのは宅地造成等規制法、森林法、農地法など7法令。総務省の実態調査で事例がなかった自然公園法などを記載する一方で、熱海の土石流で地権者の反対を理由に規制見送りが問題になっている砂防法には触れていなかった。
 事務局は別の会議資料で「盛り土に関する現行法の課題」を論点として提示し、具体的な法令として「宅造法、森林法、農地法等」と記していたが、砂防法は明示していなかった。会議後に公表した議事録によると、4回の会合で砂防法に関する議論は一度もされていない。
 内閣府の担当者は取材に「砂防法は意識していなかった。資料作成には国土交通省など他省庁も関係していて、全て把握していない」と説明。検討会で座長を務めた中井検裕東京工業大教授は「取り上げられなかった理由は私にも分からない」としている。

 <メモ>砂防法と残土崩落問題 大阪府豊能(とよの)町で2014年に発生した大規模な残土崩落事故をはじめ、残土崩落の事案に砂防法で対応するケースは全国で相次いでいる。総務省による20~21年の実態調査によると、不適切な事案120件のうち砂防法関連は8件あり、土砂条例を除く法律としては農地法、森林法に次いで多い。

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