テーマ : 熱海土石流災害

伊豆山の豊かな海「取り戻す」 地元漁師と水技研 海藻「カジメ」増殖プロジェクト再始動

 熱海市伊豆山の漁師でつくる伊豆山漁業会と静岡県水産・海洋技術研究所は10日、特産のアワビやサザエの餌となる海藻「カジメ」を増やす取り組みを伊豆山港で始めた。一昨年の土石流災害で大量の土砂が流入し、海藻がほぼ全滅した同港。しかし昨年からカジメが芽生え始め、復活の兆しを見せている。漁師は「豊かな漁場を取り戻し、支援してくれた人たちに恩返ししたい」と話している。

カジメの胞子を付着させるコンクリートブロックを沈める漁師=10日午前、熱海市の伊豆山港
カジメの胞子を付着させるコンクリートブロックを沈める漁師=10日午前、熱海市の伊豆山港
伊豆山港内で育ったカジメを手にする松本早人さん=10日午前、熱海市の同港
伊豆山港内で育ったカジメを手にする松本早人さん=10日午前、熱海市の同港
カジメの胞子を付着させるコンクリートブロックを沈める漁師=10日午前、熱海市の伊豆山港
伊豆山港内で育ったカジメを手にする松本早人さん=10日午前、熱海市の同港

 伊豆山近海では数年前から広範囲で海藻がなくなる「磯焼け」が深刻化していた。そこに土石流が追い打ちをかけ、漁業に打撃を与えた。同会は昨年6月、カジメの幼体が付いた石を沈めて藻場造成を試みたが、思うように生育しなかった。一方で、港内の消波ブロックなどにはカジメが自然に生え始め、現在は50~60センチほどに成長している。
 今回の取り組みは、そのカジメから放出される胞子をコンクリートブロックに付着させて新たなカジメを育てる。カジメが生えたブロックを秋ごろに沖合に移設する予定だ。この日は港の岸壁で漁師がカジメの「苗床」となるブロック25個を静かに沈めた。
 伊豆山港では土石流が直撃して損壊したダイビング客用のシャワー室の再建工事が進められている。資金は同会がクラウドファンディングで募り、全国から400人以上が協力し約690万円が集まった。松本早人代表(47)は「土石流災害できれいな水や海藻の大事さを改めて学んだ。港の復旧はだいぶ進んできた。今回の取り組みが、支えてくれた多くの人に恩返しするきっかけになれば」と期待した。

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