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処分型盛り土想定なく 熱海土石流、崩落現場に適用の条例 静岡産大・小泉教授が論文

 熱海市伊豆山の大規模土石流で崩落した盛り土に適用された県の条例は別の目的で作られていた―。静岡産業大の小泉祐一郎教授(公共政策学)がこのほどまとめた研究論文で、1975年の県土採取等規制条例制定時に“土砂処分型”の盛り土の規制を想定していなかったことを明らかにした。残土処分が社会問題化した後も条例を見直さず、不十分な行政対応を招く一因になったと分析した。

小泉祐一郎教授
小泉祐一郎教授

 小泉教授は、当時の関係者への聴取や過去の資料の精査によって条例制定の経緯をたどった。
 論文によると、条例は74年に就任した山本敬三郎知事の意向で、当時問題になっていたゴルフ場や分譲地などの乱開発を防ぐ目的で制定された。知事の指示を受けた県担当者は当初、土地利用を規制する内容の条例案を検討したが、当時の自治省(現総務省)が条例による土地利用の制限には問題があると見解を示したため断念。代わりに、開発行為に伴う土砂の移動(切り土と盛り土)に着目し、土地利用規制と同様の開発抑制効果を持たせる条例を作った。この“開発型”の盛り土の規制は全国初だった。
 90年代に残土の投棄が県内でも問題化。土砂処分型の盛り土の規制に本来の趣旨ではない開発型の条例が結果的に適用され続け、規制手段が不十分なまま改正もされなかったとした。熱海の土石流の盛り土は土砂処分型で、開発型の条例に違反しても是正し切れなかった。
 小泉教授は取材に、条例を薬に例えて「中途半端に薬が効いてしまったので使い続けていたが、本来はしっかりと効く薬が必要だった」と説明した。論文は同大情報学部の研究紀要に掲載した。
 

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