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検証結果 文書提出で異なった可能性 熱海土石流【記者の目】

 静岡県が行政対応検証委員会(第三者委員会)に提出しなかった文書(A283)は複数の重要な情報を含んでいた。重要情報が欠けたまま検証作業をした影響は大きく、必要な情報を提供されなかった委員、さらには原因究明や再発防止を願う被災者に対する背信行為と言っても過言ではない。
 この文書でまず注目すべき点は、検証委が重点的に検証する法令として選んだ県土採取等規制条例に関する記載。規制力の弱い同条例の対応では決め手にならないという文言が繰り返され、当時、他の法令での対応を検討したことが分かる。委員が文書を読んでいれば重点検証の方針が変わっていたのではないか。
 文書には、砂防法の開発規制区域「砂防指定地」の指定要件となり得る「山肌が露出しているため降雨により泥水が流出する状況」が記されていた。土砂災害防止法の警戒区域の指定にも触れ、既存の規制区域を前提にした対応だけでなく、新たな規制区域の設定も乱開発を抑える手段として考えていたことがうかがえる。文書が提出されていれば検証結果が異なっていた可能性は十分ある。

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