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静岡県の主張迷走 砂防規制放置問題 「他の法令と重複」に疑問の声【熱海土石流】

 昨年7月に土石流が発生した熱海市伊豆山の逢初(あいぞめ)川の上流域で砂防法に基づく規制区域を砂防ダム付近に限定し、上流域全体の「面指定」をしないまま約20年間放置していた問題を巡り、県の主張が迷走している。県は放置した理由に「他の法令との規制重複」を挙げるが、砂防法以外の法令は土砂投棄や盛り土造成が一定の面積を超えるまで規制の対象にならず、重複しない。面積に関係なくこれらの行為を制限できる砂防規制が適用されていれば、土砂搬入の早い段階から強い規制力をもって対応できていた可能性がある。

逢初川流域の砂防指定地の指定状況
逢初川流域の砂防指定地の指定状況
関係法令
関係法令
逢初川流域の砂防指定地の指定状況
関係法令


 ■「管理された植林」
 県は砂防ダムを設置した1999年に「渓流の荒廃は進んでいるものの流域上部は管理された植林地帯」(指定申請文書)として、上流域の面指定を当面見送る判断をした。
 2日に改めて発表した見解では「他法令により管理可能な状態である場合には、必ずしも砂防指定地(砂防規制区域)に指定することは要しない」と説明。他法令として森林法と県土採取等規制条例を挙げた。砂防ダムより上流域は森林法で規制対象になる「5条森林」のため、砂防規制を避けたと主張した。

 ■国も見解否定
 ところが、複数の県関係者から「(県の主張には)無理がある」との声が漏れる。県の見解は、当時の担当者に聴取せず、難波喬司理事と現在の県砂防課が相談して当時の判断を推測した内容。そもそも5条森林の場合、土砂投棄や盛り土などの面積が1ヘクタール以下だと規制できない。
 森林行政を担う県森林保全課は「1ヘクタールを超えない場合、森林法で管理されているとは言えない」としている。砂防規制区域が5条森林と重複する事例は多く、砂防法を受け持つ国土交通省砂防計画課も「5条森林との重複を避けるようには求めていない」と県の見解を否定する。

 ■砂防規制が優先
 伊豆山の残土処分場(盛り土)に適用された県土採取等規制条例は1000平方メートル未満だと規制対象にならない上、砂防規制と重複する場合に砂防規制を優先する規定もある。
 熱海市は砂防法以外の関係法令に検証を重点化した県行政対応検証委員会(委員長・青島伸雄弁護士)の報告書に関して「検証のバランスを欠いている」と反発。「(県の)対応が適切に行われていれば、歯止めに寄与していた側面がある」と指摘している。

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