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土砂対策に一定評価 熱海土石流、警戒区域解除向け 静岡県検討委見解

 熱海市伊豆山の大規模土石流を巡り、有識者や国、市と構成する県災害対策検討委員会は23日、最終会合を県庁で開き、逢初(あいぞめ)川上流域の土石流起点付近で進む土砂崩落対策に関し「ハード面では十分な対策が取られつつある」との見解を示した。市が「今夏の終わりごろ」をめどとする警戒区域の解除に向けて一定の技術的評価を与えた。

熱海の盛り土
熱海の盛り土

 上流域は盛り土(残土の投棄)や切り土(地盤の掘削)が行われ、盛り土崩落に伴う土石流発生後も不安定になった盛り土の一部が残る。このため、市は立ち入りを制限する警戒区域を下流域に設け、県が行政代執行で残った盛り土の一部を撤去している。
 委員長の今泉文寿静岡大教授は「ハード、ソフト対策を両方進める必要がある」とした上で、国が整備した新砂防ダムと県が進めている不安定土砂の除去に加え、市や住民による避難体制の構築などソフト対策も求めた。警戒区域の解除に関しては「行政の判断だ」と述べるにとどめた。
 市の担当者は「警戒区域内の安全の確保が大前提と考えている」とし、具体的な解除時期に言及しなかった。

 廃棄物混入の盛り土安定性 「議論の対象外」
 熱海土石流に関する県の災害対策検討委員会は23日の最終会合で、行政代執行で撤去されない廃棄物混じりの盛り土の安定性や下流の河川処理能力の問題を「議論の対象外」として取り上げなかった。警戒区域の解除に向けて課題が残された。
 廃棄物混じりの盛り土は崩落部上流側に位置するが、調査が不十分で土砂量は不明。木くずなどが土砂に混じると地下水の通り道になりやすいとして複数の専門家が崩落の危険性を指摘している。河川処理能力は上流の開発が認められるレベルでなく、下流の川幅を広げる改修を今後予定する。
 今泉委員長は会合後の記者会見で「今回の検討委に(事務局から)資料が提出されていない」と議題にしなかった理由を説明。検討委の事務局を担う県砂防課は「(熱海市で19日に開いた)住民説明会で意見が出なかったため」と釈明した。
 崩落した盛り土の規制に関する行政対応を巡っては県が設置した第三者委員会が議論の対象を限定。県議会から検証不足として再検証を求められている。

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