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残存盛り土の安全対策 熱海市、前所有者に措置命令 熱海土石流

 熱海市伊豆山の大規模土石流の起点に残っている盛り土を巡り、市は1日までに、県土採取等規制条例に基づき、盛り土造成計画を届け出た前土地所有者の不動産管理会社(神奈川県小田原市)に盛り土の安全対策を命じる措置命令を発出した。関係者への取材で分かった。市が同社に措置命令を出したのは初めて。
 命令は5月31日付。6月30日までに安全対策工事の計画を市に提出するよう求めている。市は2011年にも措置命令を出す方針を固めたが、同社側が防災工事に着手し、一定の安定性が確保されたとして命令を見送った。しかし工事は未完のまま放置されていた。
 市は今年3月末、大雨で崩れる恐れがあるとした県の盛り土安定性調査の結果を踏まえ、同社に対策を求める行政指導をした。関係者によると、5月20日まで弁明の期間を設けたが「十分な回答がなかった」ため、命令に踏み切った。
 同社の代表(72)はこれまでの取材に「土地を別の業者に貸しただけで、盛り土の行為者ではない」「防災工事は現所有者が行うべきだ」などと主張している。現行の条例は指導権限が市にあるが、7月に施行する新たな条例では県に権限が移る。同社が命令に従わない場合、市と県は対応を協議し、土砂撤去の行政代執行も視野に入れている。
 同社が造成を届け出た範囲には、約2万立方メートルの盛り土が残っている。市と県は梅雨入り前の応急対策として、盛り土の排水工事を行っている。

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