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熱海土石流 県所管法令の検証不十分 砂防法「下流域の安全考慮を」 静岡県議会特別委が報告書

 熱海市伊豆山で2021年7月に発生した大規模土石流に関する県議会特別委員会は26日、最終会合を開き、県が設置した行政対応検証委員会(第三者委員会)による県所管法令の検証が不十分だったとして再発防止のため再検証すべきだとする報告書をまとめた。第三者委で論点外とされた砂防法に関しては、規制による下流域の住民の安全を考慮した場合、土地所有者の私権を優先して上流域の規制を見送った県の判断が妥当だったのか、再検証するよう提言した。

熱海土石流
熱海土石流
県議会特別委員会の報告書骨子
県議会特別委員会の報告書骨子
熱海土石流
県議会特別委員会の報告書骨子

 報告書は第三者委の検証について「複数の法令に土石流災害防止の論点が存在するにもかかわらず(市に権限のある)県土採取等規制条例の運用に観点を絞った」と指摘。検証が不十分な県所管法令として砂防法、森林法、土砂災害防止法、廃棄物処理法、都市計画法などを挙げた。
 法令ごとに再検証の際に留意すべき項目も列挙した。砂防法は、所有者の同意が得られないために国に砂防指定を申請しなかった県の対応に関して「地権者の私権制限とエリアの安全性の判断が妥当だったと言えるのか」などと疑問視した。再検証の具体的な方法には触れなかった。
 県議会特別委は昨年10月以降、第三者委の委員や被災者、専門家から意見聴取し、行政手続きと被災者支援の在り方を中心に議論してきた。竹内良訓委員長は終了後の取材に「行政の立場として、できることが本当に100%なされたのか。教訓として、どれだけ生かせるのかが問われている」と述べた。報告書は県議会2月定例会で議長に提出する。

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