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熱海土石流発生から2年 124世帯避難続く 帰還後に不安も

 熱海市伊豆山の大規模土石流は3日で発生から2年。いまだ124世帯217人が避難生活を強いられている。市は原則立ち入り禁止としている警戒区域を9月1日に解除する予定で、今月から住宅修繕のための工事業者の立ち入りが可能になった。ただ、9月までにライフラインの復旧箇所は限られ、生活道路の整備もこれから。先が見通せない現状に、被災者からは不安の声が漏れる。

水道の復旧状況を確認する被災者と工事関係者。住宅には土石流の傷跡が生々しく残る=2日午前、熱海市伊豆山
水道の復旧状況を確認する被災者と工事関係者。住宅には土石流の傷跡が生々しく残る=2日午前、熱海市伊豆山

 警戒区域への一時立ち入りはこれまで、市が毎月設定する平日の1日と、月命日、第1、3日曜にのみ認められていた。発生から丸2年の前日となった2日、区域内では工事関係者と水道を点検したり、自宅の空気を入れ替えたりする被災者の姿が見られた。
 逢初(あいぞめ)川中流域の自宅に一時立ち入りした小磯清さん(72)は庭先の水道から水が出るのを確認した。今後、土石流で損壊した屋根や擁壁を修繕する予定という。ただ、自宅前の道路をかさ上げする工事が計画されていて、「自宅の工事をどうすればいいのか見当がつかない。本当に帰れるのか」と頭を抱える。近所の小磯栄一さん(75)も留守中に傷んだ自宅を直す予定だが、「道路の工事が本格化すると、通れなくなる道もある。帰還できても不便な生活になるだろう」と気をもむ。
 市によると、6月30日現在、自宅修繕のための立ち入り申請が5件あり、9月1日に向けて増加する見込み。ただ、河川拡幅や市道整備に必要な用地買収をはじめ、宅地復旧の手法など課題は山積している。市危機管理課の小林敦課長は「被災者の意見を伺いながら、復旧復興に向けて努力していく」と話した。
 (熱海支局・豊竹喬)

 

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