テーマ : 熱海土石流災害

走り湯の源泉「午の湯」 2年越しの湯煙 「復興の糧に」

 2021年7月に発生した熱海市伊豆山の大規模土石流で被災した日本三大古泉の一つ「走り湯」の源泉「午(うま)の湯」の復旧工事が完了し、30日、湯をくみ上げる「通湯式」が行われた。地域の観光と経済を支える重要な資源の復活を関係者が祝った。伊豆山走湯温泉組合によると、早ければ8月中に地域の旅館などに湯が供給される見通し。

パイプから噴き出す湯を見ながら午の湯の復旧を祝う関係者=30日午前、熱海市伊豆山
パイプから噴き出す湯を見ながら午の湯の復旧を祝う関係者=30日午前、熱海市伊豆山

 走り湯には2本の源泉がある。このうち横穴式源泉の「戌(いぬ)の湯」は辛うじて土石流の被災を免れたが、午の湯は機械設備を含め全て埋まった。十分な湯量が確保できないため、温泉を利用する旅館などは互いに大浴場の営業時間をずらすなど協力しながら苦境を乗り切ってきた。
 復旧工事は昨年8月に始まった。固い岩盤に阻まれ工事は難航したが、今年5月中旬に地下600メートルまでの掘削工事が完了。今月26日までに機械室の整備や湯をくみ上げるエアコンプレッサーの設置などを終えた。
 通湯式では、関係者が機械室に合図を送り、しばらくすると約70度の湯が勢いよくパイプから噴き出し、辺りは湯煙に包まれた。同組合によると2本の源泉で毎分300リットルの湯を供給できるという。土石流発生から間もなく2年。中島英雄組合長は「本当に多くの人が苦労してきた。伊豆山の財産を末永く維持管理し、復興の糧となるよう祈っている」と話した。

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