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特集 : 熱海土石流災害

被告は行政の責任指摘 熱海土石流損賠訴訟、初弁論

 熱海市伊豆山の土石流災害を巡り、遺族ら84人が起点の盛り土を含む土地の現旧所有者らに計約58億円の損害賠償を求めた訴訟は18日、静岡地裁沼津支部で審理が始まった。熱海市議会の調査特別委員会(百条委員会)では関係者による証言の食い違いが際立つ中、原告団は訴訟を通じた真相解明に期待を掛ける。一方、被告の現所有者(85)は同日、行政の責任を指摘して訴訟への参加を促す「訴訟告知」を行った。

記者会見で訴訟への思いを語る原告団の遺族ら=18日午前11時半ごろ、沼津市内
記者会見で訴訟への思いを語る原告団の遺族ら=18日午前11時半ごろ、沼津市内

 被告は土地の現旧所有者のほか、盛り土の造成工事に関わった業者ら計13個人・企業。このうち訴状が送達できていない2被告を除き、いずれも請求棄却を求め争う姿勢を示した。現所有者が訴訟告知を行ったのは県と熱海市、同市の斉藤栄市長。告知することで、訴訟への参加の有無にかかわらず訴訟の効力が及び、敗訴した場合に3者にも責任を分担させる狙いがある。
 弁論終了後に記者会見した原告団の加藤博太郎弁護士は「まさに真相解明はこの裁判に掛かっている。再発防止のために責任の所在を明らかにしなくてはいけない」と意気込んだ。「熱海市盛り土流出事故被害者の会」の瀬下雄史会長(54)は「行政を巻き込んでも被告の過失は薄まらない。責任転嫁は詭弁(きべん)以外の何物でもない」と批判。娘を亡くした小磯洋子さん(72)は「(今も)涙しない日はない。前に進むために、裁判を突破口にしたい」と思いを語った。
 現所有者代理人の河合弘之弁護士も会見を開いた。旧所有者である不動産管理会社(神奈川県小田原市)の代表(72)を「責任が一番重い」と訴え、不適切な盛り土造成を阻止するための規制権限を行使しなかった県、市、斉藤市長にも責任があると強調。行政を提訴しない原告団の対応を疑問視し「現所有者側、旧所有者側、県、市、市長の5者が本当のことを主張し立証しなければ真相が分からない。(現旧所有者で)責任のなすり付け合いになるだけ」と不満をぶつけた。
 訴訟告知について、県と熱海市、斉藤市長は「告知書が届いておらず、コメントできない。確認して対応を検討する」としている。

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