テーマ : 熱海土石流災害

伊豆山の復興計画 被災者の生の声反映を【湧水】

 26人が死亡し、依然として1人が行方不明になっている熱海市伊豆山の大規模土石流は、発生から5カ月近くが経過した。主要な生活道路が復旧し、伊豆山小での教育活動も再開した。日常を取り戻しつつあるように見えるが、心に傷を負ったまま現実に向き合えない被災者は少なくない。市が本年度中に策定する復興計画は、安全安心な地域づくりだけでなく、傷ついた住民を支える指針としても重要な役割を担う。
 「まだ本気で泣けていない」「本音が語り合える場がほしい」。今月中旬、地元のボランティアらの会合で、市伊豆山ささえ逢(あ)いセンターの担当者は、被災者から聞いた生の声を報告した。
 同センターは、市内外の応急仮設住宅で暮らす被災者を訪問して個々の悩みを聞き、必要に応じて専門機関などにつなげる活動をしている。10月は55軒を訪問したという。
 一概に被災者といっても、不安や悩みはさまざまだ。最愛の家族を失った遺族は、現実を受け入れられずに苦しんでいる。住み慣れた伊豆山を離れた1人暮らしの高齢者は、孤立に不安を抱える。警戒区域内にあったアパートなどの不動産収入が絶たれた人は、今後の生活設計が成り立たないと悩む。
 市の復興計画は、伊豆山の将来像を総合的にまとめる基本計画、道路や河川などのハード整備に関するまちづくり計画、まちづくり計画を具体化する実施計画の3本で構成する。基本計画の策定に当たり、市は被災者が伊豆山に戻りたいかどうかなどを訪ねるアンケートを実施する。住民の意見をくみ取るための復興委員会も年内に設置する予定だ。
 復旧復興にはスピード感が重要だが、被災者の思いを反映したものでなければならない。地元のボランティア団体は、被災者が“愚痴”を含めた本音を語れる場を定期的に開く活動をしている。被災者の本音には行政にとって耳の痛い指摘もあろう。だが、その一つ一つが地域を再生する上で欠かせない金言になるはずだ。市や議員もこの取り組みに積極的に参加し、計画に反映してもらいたい。
 

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