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熱海土石流被災者 住宅の悩み深刻 罹災証明手続き始まらず

 熱海市伊豆山で発生した大規模土石流で、静岡県と市が市役所内に15日開設した「住まいの相談窓口」には、被災者のさまざまな悩みが寄せられた。県は公営、民間賃貸住宅への入居時期の目標を「8月いっぱい」としているが、入居に必要な罹災(りさい)証明の手続きが始まっていないのが実情。生活再建の道のりは険しい。

被災者の住宅に関する相談に応じる静岡県職員=15日午後、熱海市役所
被災者の住宅に関する相談に応じる静岡県職員=15日午後、熱海市役所

 県によると、同日訪れた被災者10組のうち9組が住宅の流失や一部損壊などの被害を受けた。「避難所にはいつまでいられるのか」「仮住まいにはいつ入れるのか」。被災者の問いに、県の担当者が今後の流れや各種補助制度などを説明した。
 ただ、実際の被災状況が確認されない限り、公営住宅などに入居することはできない。市によると、罹災証明の手続きが始まるのは7月下旬の見通し。通勤、通学、通院先との兼ね合いや地域コミュニティーの継続に不安を感じる被災者も多いという。
 市によると、15日だけでも52件(午後4時時点)の相談申し込みがあった。県建築住宅局の星野浩二局長は「責任を持って住宅を確保し、被災者の安心につなげたい」と話す。

 苦渋、移住やむなし
 熱海市役所に15日開設された「住まい相談窓口」を訪れた会社員志村信彦さん(40)=同市伊豆山=は、倒壊家屋が密集する岸谷(きだに)地区の自宅が土石流に流された。現在は市内の実家に身を寄せている。妻(39)、長男(7)、長女(4)は市内の妻の実家で暮らしている。
 「家族4人で生活できることが第一。子どもの学校のことも踏まえて、新学期までに決められたら」と今後の生活を見据える。
 土石流発生当時、自身は長男と外出中で、妻と長女が在宅していた。土砂で家に閉じ込められた妻子を助けてくれたのは近所の住民たちだった。
 「感謝しても、しきれない。ばらばらになりたくない思いはある」と話す一方、「今はあそこに住み続ける思いはない」と苦しい胸中を明かした。

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