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熱海土石流被災住民 「ホテル避難所」自主運営振り返る 心掛けたのは「普通の生活リズム」

 大規模な土石流が発生した熱海市伊豆山の被災住民8人と被災者支援スタッフが25日、同市の静岡県熱海総合庁舎で取材に応じた。7月3日の発生直後から始まったホテルでの避難生活で、自主的な避難所運営の活動に踏み出すまでの経過などを振り返った。

弁当配布のボランティアをする住民=8日、熱海市の熱海金城館(鈴木まり子さん提供)
弁当配布のボランティアをする住民=8日、熱海市の熱海金城館(鈴木まり子さん提供)

 住民は発生翌日から市内のホテルに避難した。観光地の特性を生かした避難所だが、宿泊客と同じ環境のため、生活の主体性を失う恐れがあり、個室での暮らしはほかの住民とコミュニケーションが取りづらいなどの課題もあった。
 住民はまず困り事を共有。「体を動かしたい」との要望から健康体操を提案したり、ホテルの食堂に行くことができない高齢者に、ほかの住民がシフトを組んで弁当を配布したりと、少しずつ自主運営に踏み出した。
 伊豆山地区連合町内会の当摩達夫会長(75)は「避難所を運営する組織はあっても、具体的に何をすればいいか分からなかった」と述べ、手探りだったと振り返った。弁当配布のシフト表を作成した岡本道男さん(70)も「避難所が体育館だったら運営できたかどうか」と語った。
 民生委員で元管理栄養士の小松こづ江さん(71)は、弁当の配布時に高齢者の健康状態を確認したり、回収時に残食の量を見て気付いたことを看護師らに伝えたりと、自分なりにできることを積極的に行ったという。
 避難者を間近で見てきた県被災者支援コーディネーターの鈴木まり子さん(61)は「自主運営の一番の目的は、自分のことを自分でする普通の生活のリズムを保つこと」と指摘した。
 25日正午時点の避難者は177人。

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