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テーマ : 三島市

社説(12月29日)静岡県東部の拠点3市 広域的視点で未来語れ

 任期満了に伴う三島市長選は、豊岡武士氏が4選を果たした。三島市は、多くの行政機関や企業が立地する沼津市、県内3番目の人口規模の富士市と並ぶ東部・伊豆の拠点都市。都心まで新幹線で40分程度の通勤・通学圏で、伊豆の玄関口として高い地理的優位性がある。
 豊岡市長はその都市機能を生かし、人口減対策や観光再生など広域的課題に役割を果たすべきだ。政府のデジタル田園都市国家構想と相まって東京一極集中の打破は今が正念場。何より沼津、富士との連携を求めたい。
 まずは3市のトップが広域的な視点で未来を語れる機運醸成を図ってもらいたい。頼重秀一・沼津、小長井義正・富士の両市長は年1回会合を開いている。コロナ禍で中断していたが7月に再開した。沼津駅付近高架化事業による沼津市西部への新貨物ターミナル移転後に向け、両市の隣接地域の活性化を模索しているほか、経済人有志も協働したりと両市の連携の環境は元々できている。豊岡氏を加え、課題解決への道筋と未来像を示す必要がある。
 三島市長選では、東部・伊豆地域を想定した幅広な論戦が深まらず、三島駅南口再開発事業の賛否や市役所建て替えが争点だった。また、頼重氏は4月に再選し、小長井氏は昨年12月に3選を決めたが、いずれも無投票当選で論戦の機会はなかった。
 広域的な政策を具体化するには、従前の組織を連携させてはどうか。コンベンション誘致を担う県東部地域コンベンションビューローは沼津市と沼津、三島の両商工会議所が加盟している。東部・伊豆の経済団体が中心の駿豆地区商工振興懇話会には沼津と三島の両商議所と沼津市商工会がメンバーとなっている。富士も交え、喫緊の課題の地域活性という経済分野から議論を先行させたい。
 昨年の東京五輪・パラリンピック自転車競技の開催を機に、東部・伊豆で醸成された「サイクルツーリズム」に関するイベントも活用したい。沼津と富士は共同でイベントを展開中だ。三島には大手自転車メーカーによる「チームブリヂストンサイクリング」が拠点を構え自転車との縁はある。自転車を核とした活性化と産業化につなげたい。歴史の息吹を感じる旧東海道を舞台に東西に並ぶ3市を横断するレースやサイクルツアー、景観に恵まれた伊豆半島も組み入れた「半島1周サイクリング」といった地域資源を生かした取り組みの具体化が不可欠だ。
 政令市を持たない県東部にとって3市はまさに拠点。共通課題への打開策を示し先進例として発信してほしい。

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