自転車のチームブリヂストン、五輪切符獲得に貢献 三島に拠点移し6年、一体感磨く
世界を目指して三島市に拠点を移し6年。自転車競技の名門「チームブリヂストンサイクリング」の挑戦が一つ実を結んだ。所属選手による単独編成で、パリ五輪出場枠を争う選考レースを戦い終えた。15日に国際自転車連合(UCI)が発表した五輪ランキングで男子4000メートル団体追い抜きの日本は6位。東京五輪では手にできなかった出場枠を獲得した。
伊豆市の伊豆ベロドロームで東京五輪の開催が決まっていた2018年。チームは1964年の創設以来慣れ親しんだ埼玉県上尾市を離れ、三島市で新たなスタートを切った。掲げたのはトラック種目での世界挑戦。もともとロードレースの強豪で、中距離のチーム種目、団体追い抜きの五輪出場は悲願だった。だが、自国開催で手にできたのは橋本英也選手(30)の個人1枠だけ。まだ世界との距離は遠かった。
あれから3年。チームはパリでの雪辱を胸に成長を続け、昨季から日本新記録を連発してきた。原動力は継続性。メンバー全員が近隣に住み、日ごろから練習をともにする。持久力が持ち味の児島直樹選手(23)は「同じメンバーで走り続けたからこその成果」と一体感に自信を見せれば、ベテラン橋本選手も「互いの長所を分かりきっている」と実感を込める。
3月のネーションズカップ第2戦(香港)。チームは1回戦で3分48秒127をマークし、強豪のニュージーランドを倒した。日本代表として初めて3分50秒の壁を突破。最終的に銀メダルを手にし、五輪出場に当確ランプをともした。6年越しの取り組みが、形になった瞬間だった。
まだ五輪本番に単独チームで臨めるかは決まっていない。ただ、団体追い抜きの出場枠により、1人で4種目を行うオムニアム、2人組で走るマディソンの出場権も確定し、2023年世界選手権男子オムニアム3位の今村駿介選手(26)は「出場を逃した東京五輪の悔しさを晴らす」と視線をパリに向ける。
「世界基準の環境だからこそ強化につながってきた。あとは五輪で結果を残すだけ」と最年長34歳の窪木一茂選手。欧米勢が席巻してきた自転車競技史に、新たな歴史を刻む覚悟だ。
(下田支局・伊藤龍太)