パート勤務 当日ＯＫ 働きやすく 士気向上 三島の金子電子工業
パート社員の勤務日数や時間は自由、当日決めてもＯＫ―。三島市の金子電子工業が多様な働き方ができる環境を整え、約６割を占める子育て世代に喜ばれている。士気が向上し、金子靖社長は「以前よりも業務がスムーズに進むようになった」と手応えを語る。
同社はコインランドリーなどで使われる電線の加工を手がける。作業に当たるパート社員３８人は午前９時から午後４時まで、自由に勤務時間を選べる。事前のシフト伝達は任意。急きょ仕事を切り上げても構わない。事情も問わない。勤続５年になる村木知里さん（３８）は「子どもの学校から連絡があった時、すぐに迎えに行くことができて助かった」と話す。
事業拡大に伴い求人募集したが思うように集まらず、子育て世代を呼び込もうと現行制度にした。大口発注元から数カ月先の予定が提示され、部品は自社で調達するため、長期予定を立てやすいのが幸いした。以来、労働形態が理由の離職者はゼロ。口コミで人材が集まるようになった。
パート社員も会社に協力的だ。佐野頼子さん（４１）は「気持ちよく休ませてくれるので一生懸命働いて恩返ししたい」。業務が滞らないよう自主的に休みを分散し、作業量が多い時期は積極的に出勤しているという。
（東部総局・矢嶋宏行）
「労使にプラス」評価
金子電子工業のパート社員の労働形態について、同社が加盟する三島商工会議所の担当者は「ここまで自由に出退勤を決められる会社は他に聞かない」と驚く。「会社と社員がそれぞれ歩み寄った結果、両者のプラスになっている。素晴らしい制度」と評価する。
労働力が首都圏に流出し、ワークライフバランスを重視する若年層が増える中、人材確保と定着は会員企業の最大の課題という。担当者は「最も人手が必要な製造業で成功している。他の企業の参考になる」と話した。
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