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テーマ : 三島市

三島市役所整備地選定 市民の総意捉え結論を【記者コラム 湧水】

 築60年経過して老朽化が進む三島市役所の新庁舎整備建設地を巡る議論が今夏、大詰めを迎える。候補地は現在地の北田町か南二日町広場のどちらか。市は1万人規模の市民アンケートを5月に実施し、8月に結論を下す方針だ。まずは市民の総意がどちらにあるか注目している。
 市は昨年11月に候補地を選定する予定だった。しかし、市議会や市民の意見が多様として絞り込みは拙速と判断し、決定を先送りした。アンケート結果を尊重しながら「拮抗(きっこう)した場合は総合的な観点で判断する」としている。
 新庁舎を建設する上で重要な論点は①コスト②防災③まちづくりの影響―だろう。
 コストは、現在地が庁舎の高層化や立体駐車場の整備が必要となり割高になる。概算事業費は約111億5千万円と約11億円高く、80年間の生涯コストでは約333億1千万円と24億円の差が開く。市は仮庁舎を設けず解体と建設を繰り返す方針のため、工期は最短で6年を想定。南二日町の約3年に比べて長く、コストがかさむ可能性もある。
 防災に関しては、敷地の広い南二日町は大規模地震発生時の災害拠点として利便性が高い一方、千年に1度の洪水浸水想定区域のため土地のかさ上げ対策が必要となる。現在地は浸水被害のリスクが低いが、災害復旧の支援受け入れスペースは限られる。
 まちづくりの影響は、南二日町に移転した場合に現庁舎周辺の衰退を懸念する声がある。市は移転した場合に現在地よりも市街地の人流が増えるとのモデルを示したが、庁舎以外の施設との関連性もあるため不安を拭うだけの説得力があるとは言えない。新庁舎の機能や跡地利用の具体案が見えないことも不安を拭えない原因だろう。
 現在地を望む一部の市議や市民から「移転前提はおかしい」という声がある。市が恣意(しい)的な資料を提示しているとは思わないが、市民目線でなく、役所の視点になっていないかは、一度振り返るべきだろう。市が無駄な支出を抑えて防災やまちづくりに取り組むことは重要で、市民も当然求めている。アンケート結果から市民の考えを的確に把握し、結論を出してほしい。
 (三島支局・岡田拓也)

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