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テーマ : 三島市

社説(3月30日)東部3市の再開発 全域活性化へ連携図れ

 静岡県東部の主要3市(富士、沼津、三島)の中心市街地で2024年度、複合ビルを建設する再開発事業が本格的に始動する。富士、三島は30年までに完了する予定。新たな貨物ターミナルと車両基地の整備に伴う鉄道高架化を進める沼津では、40年前後の完工を見通す。
 東部・伊豆は少子高齢化と人口減、中心市街地の衰退など共通する課題を抱え、基幹産業である観光も先行き不透明だ。そうした中で、図らずも人口10万人を超す主要3市の中心市街地再開発が同時期に本格化する。3市はこれを好機ととらえ、観光振興や定住促進で連携して東部・伊豆全体の活性化に寄与する方策を考え、推進してほしい。
 再開発をてこに地元の活性化を第一義的に考えるのは当然だ。ただ、3市が「地元だけ」の狭い視野で東部・伊豆全体の繁栄まで見ないようなら、長期的には3市にとってもマイナスになることを自覚すべきだ。地域を「点」でなく、「面」としてとらえる視点が欠かせない。
 まずはこれまでなかなか実現しなかった3市のトップ会談を求めたい。県も積極的に仲介に動いてほしい。沼津、富士両市長は定期的に会合を重ね、市境周辺地域の再生や沼津の新貨物ターミナルと富士の田子の浦港を活用した輸送網整備の在り方を話し合っている。東駿河湾環状道路が全線開通すれば、既存の幹線道とつながり、3市が結ばれる。三島市を加えた3市連携の要件がそろうと言えよう。
 再開発は長期にわたる事業のため、経済・社会情勢の変化によって計画通りに進まないこともあり得る。しかし、東部・伊豆の多くの市町は3市以上に人口減や高齢化が深刻だ。首都圏と中京・関西圏を結ぶ東海道に位置し、伊豆半島の玄関口にも当たる主要都市の再開発は、県東部全体の活性化に向けた鍵になり得るのではないか。3市には、それぞれの中心市街地の再生をどのように周辺地域に波及させることができるのか、広域的な視点で見ながら知恵を絞ってもらいたい。
 例えば三島市の三島駅前再開発では、事業対象エリア一帯を広域健康医療拠点とし、高機能健診センターや子育て支援施設の導入を見込む。隣接する長泉町の県立静岡がんセンターやファルマバレーセンターと連携して健康を軸に事業を打ち出せないか。
 沼津は地権者の合意が長期間得られず、三島もいったん決まった事業者が撤退した経緯があるため、共に検討開始から本格始動まで数十年を要した。本格始動で関係者の間には安堵[あんど]の空気も漂うが、事業化はゴールではなく、地域再生への一歩に過ぎないと認識してもらいたい。

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