記者コラム「清流」 富士山が見える幸せ
「日本一の山を日常的に見られているのは特別なことだと思わないと」。三島市を拠点に自転車競技の五輪出場を目指す「チームブリヂストンサイクリング」の今村駿介選手が取材中口にした言葉に思わず納得した。
数年おきに県内各地を転居する記者にとっては、日常的に富士山が見えるか否かは勤務地に左右される。三島支局に勤務していた10年前、アパートから毎日見える霊峰が癒やしだった。見えなくなると見たくなるもの。異動後に存在の大きさをかみしめた。
今村選手は昨夏の世界選手権で銅メダルに輝くなど着実に実績を積んできた。東京五輪を逃した悔しさが3年間の意欲の源だったという。後はパリ切符を手中にするのみ。世界の頂に挑む好機をつかんでほしいと願わずにはいられない。
(下田支局・伊藤龍太)