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テーマ : 三島市

2024年春の褒章 静岡県内受章者 喜びの声【まとめ】



 2024年春の褒章受章者(29日発令)が発表された。県内関係は13人。業務に精励した人に贈られる黄綬褒章が5人、公共的な職務に貢献した人に授与される藍綬褒章が8人だった。受章者が喜びを語った。
 ◇…黄綬褒章…◇
伊藤  哲(73)大和工機社長=静岡市葵区梅屋町
武内 昭人(61)鉄組潜水工業所工事部長=静岡市清水区村松
西川 浩之(58)司法書士=焼津市田尻北
堀内 昭次(77)行政書士=掛川市大多郎
山本 正信(72)富士見工業社長=静岡市駿河区富士見台

 ◇…藍綬褒章…◇
青木 峯子(78)保護司=沼津市大岡
石井 剛司(55)浜松市消防団分団長=浜松市中央区大平台
石川 信重(77)保護司=焼津市中港
瓜島 信行(76)保護司=伊豆市下白岩
大石 壮吾(81)元民生・児童委員=焼津市下小田
小林 弘世(79)元国勢調査員=袋井市国本
鈴木 啓之(64)全国調理師養成施設協会副会長=三島市芙蓉台
増田 正蔵(78)元保護司=島田市新田町


黄綬 業務精励(管工事業)伊藤哲さん 
安心安全な水を市民に

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 1976年、父が創業した会社から分離して設立された大和配管工業所(現・大和工機)に入社。上下水道の点検や工事を担い、94年から社長を務める。
 「安心安全な水を市民に届ける」という使命を胸に仕事に取り組んできた。静岡市の委託を受け、市内の水道管整備や夜間のトラブルに対応。地道な仕事ながら、「継続することで住民や行政との信頼関係につながる」と大切にしてきた。
 静岡流通センター(同市葵区)の理事長として、センターの団地開発や企業誘致にも取り組む。「現場に立つ人間を育てながら企業側から地域の価値を上げていきたい」と意欲を示す。

黄綬 業務精励(潜水士・卓越技能)武内昭人さん 
「職業ダイバー」育成も

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  出身は愛媛県。大学卒業後、静岡市清水区の鉄組潜水工業所に入社した。「無事故無災害」をモットーに、人命第一で数々の潜水工事に従事してきた。
 現在は工事・教育事業部長を務める。仕事の場は「海に限らず、水のある所どこでも」。限られた潜水時間や変化する水中の状況の中でオーダーに応える難しさに向き合ってきた。大学の授業などで潜水技術や溶接の指導も行う。
 「職業ダイバーは目に見える仕事ではないので知名度が低く、担い手が少ないのが現状。各所での指導などを通じて養成に力を入れたい」と今後の目標を語る。

黄綬 業務精励(司法書士業)西川浩之さん 
弱い人の味方 やりがい

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 1993年に司法書士に登録され、「身近な法律家」として活動してきた。2011年から4年間、県司法書士会長を歴任。成年後見制度を支える司法書士の全国組織「成年後見センター・リーガルサポート」の副理事長も務める。
 成年後見制度が2000年にスタートすると、「高齢者や障害者といった立場の弱い人の味方として徹頭徹尾やれる」ことにやりがいを感じ、成年後見業務に力を入れてきた。全国組織の役員としても第一線に立ち続ける。身寄りのない人も増えている世の中で、「権利擁護の支援策の充実を図っていきたい」と情熱を燃やしている。

黄綬 業務精励(行政書士業)堀内昭次さん
誠実な対応で信頼獲得

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 建築設計や施工などに励む傍ら、勉強を重ねて1980年に行政書士の資格を取得した。「建築関係の仕事をする上で、顧客の利便性を考えると必要な資格だった」。職域が広がり、新たな出会いも増えた。
 14年間にわたって県行政書士会の役員を務めた。心がけているのは、公正で公平な仕事。誠実な対応で信頼を獲得してきた自負がある。「考え方が細かく、ごまかしを許せない性格」と自己分析し、後進育成にも意欲的に取り組んでいる。
 掛川税務署管内青色申告会長などとして、「世の中の役に立てるよう力を尽くしたい」と地域貢献にも汗を流す。

黄綬 業務精励(木材業)山本正信さん
農業の土づくりに貢献

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 1946年創業で堆肥製造販売などを行う富士見工業(静岡市駿河区)の2代目社長を2005年から務める。初代社長だった父の「自然循環」の理念から生まれた技術を基に、樹皮や家畜のふんの堆肥化などの事業を継承してきた。
 創業精神に掲げる「ありがたい」「もったいない」「世の中のお役に立つ」を追求し、県畜産技術研究所と牛ふん堆肥を粒状化する技術を開発するなど、日本農業の土づくりに貢献してきた。会社の継続を見据え、グループ会社の統合再編にも取り組んだ。
 「受章は家族や社員をはじめ、ご縁のあった全ての人のおかげ」と感謝する。

藍綬 更生保護功績 青木峯子さん
子どもに寄り添い24年

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 2000年5月から24年間、保護司として罪を犯した子どもの社会復帰を支える。「相手の立場を受け入れ、寄り添うこと」を大切に対話を重ねてきた。
 きっかけは子どもが好きだから。ただ、最初は保護司の知識が乏しかった。日本更生保護協会の講義を東京まで受けに行ったり、カウンセリングを勉強したりして、活動に生かした。面接後、夜に帰宅する子どもの背中を見送っては、「普通の人生に戻れますように」と星に願った。
 5月に退任する。「保護司としてたくさんの感動をもらった。支えてくれた家族や仲間に感謝している」と笑顔を見せた。

藍綬 消防功績 石井剛司さん 
住民のねぎらい 原動力

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 浜松市中央区の雄踏、舞阪地区を管轄する市消防団西支団第3方面隊長として73人の団員をまとめる。消防団員だった父の影響を受け、23歳で入団。「消防団員になるきっかけをくれた親と、いつもそばで支えてくれている家族に感謝したい」と受章を喜ぶ。
 深夜の呼び出しなど苦労も多いが「大好きな地元に貢献したいという思いが支えになった」と振り返る。ありがとう、お疲れさま―と住民のねぎらいの言葉も原動力になった。
 「自分たちはプロではない。一瞬のすきが大けがにつながる」と団員の安全を第一に掲げ、これからも現場で指揮を執る。

藍綬 更生保護功績 石川信重さん 
多くの学び 人生豊かに

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 保護司として約21年間、罪を犯した人々の更生を支え、社会復帰への道のりを共に歩んできた。心がけたのは、相手の話に真剣に耳を傾けること。何げない会話から始めて徐々に心の扉を開き、悩みや本音に寄り添ってきた。過去に担当した20代の男性がその後結婚し、家族を連れて会いに来てくれたことが忘れられない思い出。「社会で活躍する姿を見るのが何よりの喜びだった」と語る。
 来年6月に退任する。「続けてこられたのは家族の支えのおかげ」と感謝の思いを口にした。「対象者と接することで学ぶことも多く、自分の人生を豊かにしてくれた」と振り返る。

藍綬 更生保護功績 瓜島信行さん
どんな相手とでも対話

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 保護司として22年にわたり、罪を犯した青少年らの社会復帰に貢献してきた。
 教員、住職として勤めながら、地元の保護司会から誘いを受けて保護司になった。「どんな相手でも話を聞いて受け入れる」ことを信念に対話を重ね、子どもたちが徐々に自分らしさを取り戻す過程を見てきた。
 保護観察期間の終わった少年が道ばたで声をかけてくれたといい「住民同士の関係になれた気がしてうれしかった」とし、「自分の価値観も変わり、柔軟になった」と振り返る。
 5月に退任する。「非行の要因をつくらないためにも互いに受け入れ合う社会が必要」と語る。

藍綬 社会福祉功績 大石壮吾さん
人のために励まし続け

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 21年間にわたって民生・児童委員を務め、地域住民が抱える悩みや不安を傾聴してきた。
 活動の原動力は、4代目焼津市長の父の背中から学んだ「人のために」という考え方。これまで100人以上の市民に寄り添ってきた。常に意識していたのは相手と同じ目線に立って解決策を模索すること。苦労はあったが、晴れやかな表情になった相談相手からの「ありがとう」の一言で、やりがいを感じた。
 委員を退いた今でも、地域貢献活動を精力的に続ける。「人のために、という思いはきっと死ぬまで変わらない。生きている限り誰かを励まし続けたいね」

藍綬 公衆衛生功績 鈴木啓之さん
基本を徹底 大切さ訴え

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 調理師学校など専門学校5校を展開する鈴木学園(三島市)の理事長を父から受け継ぎ、2019年からは全国調理師養成施設協会の副会長を務める。父と同じ栄誉を受け「協会や学校を支えてくれる人がいてこそ」と周囲に感謝する。
 協会活動では「1校で解決できないものがある」と指導者養成や基準の統一化に力を入れてきた。食中毒が発生する要因について「当たり前のことを当たり前にやっていないから」と指摘。基本を徹底する大切さを訴え続ける。少子化の影響で技術者が減少する中、「しっかりした技術者を輩出し、地域の活性化に寄与したい」と意欲を示す。

藍綬 更生保護功績 増田正蔵さん 
支えてくれた妻へ感謝

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 2003年から20年間、保護司として犯罪や非行をした人の社会復帰を支えた。青果店を営む傍ら、島田市の少年野球団「島田イースタンスポーツ少年団」の監督も30年間務めた。「『芸は身を助く』じゃないけれど、商売の話や野球の話題が支援につながることもあった」と振り返る。更生して元気にやっているとの報告が一番の喜びだ。
 元来人との関わりが好きで、幼稚園や小中学校・高校のPTA会長も務め、仕事や地域活動で家を空けることも多かった。「保護司として苦労という苦労はなかったが、妻には迷惑をかけた。長い間ありがとうと伝えたい」とほほ笑む。
 

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