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テーマ : 三島市

小説家 万城目さん講演 創作秘話や静岡県内生活振り返る 長泉町

 長泉町井上靖文学館はこのほど、人気作家の万城目学さんを招き、開館50周年記念講演会を町文化センターで開いた。万城目さんは影響を受けた井上の作品や自身のこだわりなどをユニークに語り、会場を「万城目ワールド」に包み込んだ。

影響を受けた井上の作品などを紹介する万城目さん=長泉町文化センター
影響を受けた井上の作品などを紹介する万城目さん=長泉町文化センター

 万城目さんは以前、三島市の化学繊維メーカーに勤務しながら「硬派な歴史小説家を目指していた」と県内で過ごした日々を振り返った。三島時代に執筆に着手した作品は、井上の「天平の甍(いらか)」の作風に影響を受け、天平時代の仏師の物語を歴史文学賞に応募。同時に作風の全く違う「鴨川ホルモー」を新人文学賞に応募して受賞、作家デビューにつながったと明かした。「もしも結果が逆だったら、井上靖の歴史小説を追いかける小説家になっていたかもしれない。だが、それだと生き残ってなかっただろう」と聴衆の笑いを誘った。
 現実世界に非日常的な内容を取り入れる作風で知られる万城目さんは「現実9割、不思議を1割くらいのあんばい」で作品を構成していると説明。「現実は現地に行って文化や歴史など細部にこだわるが、不思議は『こんなことがあったら面白い』と適当に楽しく発想する」と話した。
 万城目さん作品の読者という角谷昌紀さん(49)は「すごく楽しかった。小説を書く時の考え方がわかった」と声を弾ませた。
 (東部総局・天羽桜子)

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