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テーマ : 芸能・音楽・舞台

女性の自立、時を越え描く 問いかける「家庭」の本質 宮城総監督演出 SPAC「人形の家」

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)は「近代演劇の父」と呼ばれるノルウェーの作家、ヘンリック・イプセンの戯曲「人形の家」を宮城聰芸術総監督の演出で上演している。女性の自立を描いたことで1879年の発表当時、社会に衝撃を与えた作品。現代まで連綿と続く社会問題の本質を問う。SPACの「秋→春のシーズン 2022―23」の最後を飾る。

現代社会に響く演出の工夫を語る宮城聰芸術総監督
現代社会に響く演出の工夫を語る宮城聰芸術総監督
「人形の家」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
「人形の家」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場
現代社会に響く演出の工夫を語る宮城聰芸術総監督
「人形の家」の一場面=静岡市駿河区の静岡芸術劇場

 主人公のノーラは弁護士の夫へルメル、子どもたちと幸せな生活を送っていた。しかし、かつて夫を助けるためにした借金が露見する。激高した夫の言動から、自分は夫にとって都合の良い所有物でしかなかったと気づく。「一人の人間として生きる」と決意して―。ノーラをたきいみき、ヘルメルを浜松市出身のbable(べイブル)が演じる。
 中学生の時に「人形の家」に出合ったという宮城総監督。最近、「ヘルメルが抱く幸せな『家庭』のイメージが過去のものとは言い切れず、現代日本を描いていると感じるようになった」と話す。多様な生き方を認める国が出生数を維持している一方で、日本は少子化に歯止めがかからない。岸田文雄首相が「異次元の少子化対策」を提唱するまさに今、「『家庭』に縛られたままでは、解決に向かわないのでは」と投げかける。
 舞台設定は欧州から昭和10年の日本に置き換えた。舞台上に5・4メートル四方の巨大なパズルを配置。ピース一つ一つに洗濯機や冷蔵庫、ピアノ、自動車といった「幸せな『家庭』に必要とされるもの」が描かれ、それらは物語の進行に伴って外されていく。終盤、足をふらつかせながらの役者の演技に、観客は自身の固定観念を揺さぶられることになる。
     ◇
 今後の公演は4、5、11、12日の午後2時から、静岡市駿河区の静岡芸術劇場(グランシップ内)で。問い合わせはSPACチケットセンター<電054(202)3399>へ。

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