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テーマ : 芸能・音楽・舞台

交通事故の後遺症から復帰 GOMAさん 演奏活動再出発の場所【音楽に包まれて 頂ーITADAKIー名場面㊤】

 6月3、4両日に吉田町で開かれる野外音楽フェスティバル「頂―ITADAKI―」(静岡新聞社・静岡放送など共催)は、2008年初開催。新型コロナウイルス禍で中止した20、21年を除き、毎夏開催が定着している。主催者や制作陣の多くが地元在住の「ローカルフェス」として、国内屈指の歴史がある。出演常連の音楽家に、過去のステージで体感した「名場面」を語ってもらった。

「頂」の大ステージで管楽器を吹くGOMAさん=2011年6月5日、吉田町の吉田公園 (c)ITADAKI
「頂」の大ステージで管楽器を吹くGOMAさん=2011年6月5日、吉田町の吉田公園 (c)ITADAKI

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 オーストラリア先住民の木管楽器「ディジュリドゥ」の奏者GOMA[ゴマ]さんは、初開催からほぼ毎年出演する。「2回目の音楽人生が始まった場所」と語るのが11年の「頂」だ。
 09年11月の交通事故で外傷性脳損傷と診断され、記憶の一部をなくした。新たな記憶も少しずつ失われていくという難しい症状。11年6月の「頂」は事故後初めてフェスで演奏する機会となった。
 2日間開催の1日目、演奏場所のティピィ(大テント)が強風で倒れるアクシデント。屋根も高さもない舞台が急きょ設定された。GOMAさんはディジュリドゥ一本を手に、十重二十重に囲む観客の前に出た。楽器を必死に吹いた。
 「リアルな記憶は全然ないが、映像は何回も見返した。みんな、すごい集中力で静かに聴いてくれていた。まるで何かの『儀式』のような。みんなで祈っているみたいな」
 2日目はバンド形式で出演。譜面台には「今、静岡でLIVE中」と記された。「『相当状態が悪かったんだろうな』と。曲のリストも書かれていませんから。体が反応するままに、やれる曲をやるしかなかったんでしょう。メンバー3人が僕に合わせてくれた」
 11年の演奏は強い思い入れにつながった。「ちゃんと演奏できるか分からない僕のために、貴重なフェスの時間を割いてくれた。信じてくれた」。今年も感謝を込めて舞台に立つ。「音楽人生を再出発させてもらった。その瞬間を見届けてくれたスタッフや観客がいる。裏切ったらあかんという思いがあるんです。頂は年1回のみそぎ、セレモニーなんですよね」

 ◇日程 3日午前11時開始、4日午前10時開始
 ◇会場 県営吉田公園(吉田町)
 ◇出演 スチャダラパー、水曜日のカンパネラ、青葉市子、フィッシュマンズ、PUFFY、渋さ知らズオーケストラほか全28組
 ◇公式サイト https://www.itadaki-bbb.com/2023/

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