あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 芸能・音楽・舞台

しょくはつ【触発】 創作エナジーが“沸く”夏 貴島豪【SPAC俳優 言葉をひらいて⑫】

 「サウナかよっ」

しょくはつ【触発】
しょくはつ【触発】

 スマホには熱中症アラート。家から外に出た途端、そうつっこむのが日課になってしまった今日この頃。皆さまはこの暑い夏をどう過ごされたでしょうか。
 47℃というのを公演先のギリシャで体験したことがある。そうなると昼間はほぼ誰も外に出てこない。湿度を加味すると、この夏はその体感に匹敵している気さえする。夏生まれだし、ジリジリ太陽の照りつける夏は元来大好きなのだが、さすがにここまでだと何もかもそがれてしまいそうな気になってくる。いつからこうだったか…。
 が、改めて思いを巡らしてみると、僕にとって夏は「触発」の季節であるように思う。
 小中高と野球少年で、中高の夏は3年生が引退しさあ新チーム、という時には「甲子園」に触発された。親元を離れぐうたらを覚えた大学時代は飛ばして、20~30代は、毎年夏の2カ月程を富山県の利賀村に滞在し、いわゆる“演劇の聖地”に集う国内外の劇団や観客に触発された。そこから現在に至っては、夏休みを利用しSPACのさまざまな事業に参加する中高生らの日々重ねていく変化に、そして新作の稽古に…と、熱く躍動するものたちに「触発」されて、創作エナジーがこの時期いっそう、熱を帯びる気がするのだ。
 …あ、余談だが日々の帰路にも触発される場所がある。それは「スーパー」。一日の頭のリセットに料理はもってこいなのだ。で、今日の触発素材は「ガリ」。細かく刻んで、炊いたご飯を酢飯にして塩昆布とゴマもたっぷり加えて混ぜ込む。これを鯖寿司[さばずし]などにするのだが、そのままでもさっぱりして美味[うま]い。食欲がない時など、お試しあれ。
 さて、家に着き、「今日も一日頑張った。さあ飯を」と鍵を開け部屋に入る。途端、熱風。
 「サウナかよっ」
 …やっぱこれか、夏は。

 きじま・つよし 宮崎県都城市出身。1998年よりSPACで活動し出演多数。2024年1~3月、宮城聰・寺内亜矢子演出「ばらの騎士」に出演予定。

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

芸能・音楽・舞台の記事一覧

他の追っかけを読む