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テーマ : 芸能・音楽・舞台

残す芸術、残さない芸術 「天地耕作」糸口 静岡県美館長が講座

 静岡県立美術館は3日、浜松市の美術家3人による野外美術制作プロジェクト「天地耕作(あまつちこうさく)」をテーマにした企画展「天地耕作 初源への道行き」(同館、静岡新聞社・静岡放送主催)の関連企画として、木下直之館長の美術講座を静岡市駿河区の同館で開いた。

「天地耕作」展と「後世に残さない芸術」について論じる県立美術館の木下直之館長=静岡市駿河区の同館
「天地耕作」展と「後世に残さない芸術」について論じる県立美術館の木下直之館長=静岡市駿河区の同館

 木下館長は、流木や土といった自然物を使って山林などに制作し、限られた期間に公開する「天地耕作」のありようを糸口に、古今東西の芸術や文化について「後世に形を残すことが前提か、否か」という論点で話した。
 美術館など厳密に管理された環境下で展示される「残す」作品の対極として、金刀比羅宮(香川県)に掲げられた絵馬を挙げ「人間だけでなく神仏が見るものとしても捉えられている。奉納という行為に意味があり、雨ざらしで朽ちていったとしても大事ではない」とした。「残さない」文化の例としてほかに、旧引佐町(現浜松市)など国内各地の凱旋(がいせん)門や、英国の海岸に設置され、海風で劣化が進むアントニー・ゴームリーの彫刻も紹介した。
 企画展は美術家の村上誠さん、渡さん兄弟と山本裕司さんが1988年から2003年にかけて旧引佐郡や海外で行った「天地耕作」の軌跡を写真や資料でたどる。月曜休館。問い合わせは県立美術館<電054(263)5755>へ。
 (教育文化部・橋爪充)

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