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テーマ : 芸能・音楽・舞台

心躍らせる ぬくもりの音♪ パット・メセニー単独公演

 ジャズ界をけん引し続ける米ギタリスト、パット・メセニーが1~2月、約半世紀の経歴で初という世界ソロツアーで日本各地を訪れた。終盤のブルーノート東京ではギターを次々に持ち替え、独りひたむきに音を紡いだ。

ソロ公演でアコースティックギターを演奏したパット・メセニー=ブルーノート東京(撮影・佐藤拓央)
ソロ公演でアコースティックギターを演奏したパット・メセニー=ブルーノート東京(撮影・佐藤拓央)

 「日本で演奏することは、音楽家として最も大切にしていることの一つです」。本人の音声メッセージを流した後、アコースティックギターで映画「黒いオルフェ」「ニュー・シネマ・パラダイス」、カーペンターズ、「イパネマの娘」など世界各地の曲を織り交ぜ、即興演奏を展開する。
 来日公演は約5年ぶり。新型コロナウイルス禍で活動できなかった間も独り、弾き続けていたのだろう。舞台の姿も、弦の一本一本に祈りを込めるかのように見えた。ぬくもりある音で観客に寄り添い、思いがけない即興の展開で心躍らせる。
 「ディス・イズ・ノット・アメリカ」など、キャリアを彩るメロディーの数々。バリトンギターやエレクトリックギター、42弦ある「ピカソ・ギター」など音色もさまざま。一音一音に陰影を付け、聴く者の心を揺らし浮遊させる。空間的広がりも感じさせ、彼を育んだ大地や空を想像させる。
 最後は、舞台に所狭しと並んだビブラフォンや多くの鳴り物をギターと連動させ、同時に奏でるにぎやかな装置「オーケストリオン」に歓声が沸いた。ファンにはなじみ深い、艶やかで伸びやかな音のギターシンセサイザーも登場し、盛り上がりは最高潮に。彼が舞台を去った後も、観客は音楽の喜びと余韻に浸り、拍手をいつまでも止めようとしなかった。

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