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テーマ : 芸能・音楽・舞台

「アイアンクロー」 プロレス一家 愛と葛藤

 「アイアンクロー」(鉄の爪)というタイトルにプロレスファンなら血が騒ぐ。アメリカ伝説のプロレスラー一家が築き上げた「必殺技」だ。最強を追い求めた家族の、しかし、ありえないファミリーヒストリーに衝撃が走る。

「アイアンクロー」
「アイアンクロー」

 1970年代。ヒール(悪役)レスラーとして鳴らしたフリッツ・フォン・エリックは、家族を養うために自らの団体を設立。次男ケビン(ザック・エフロン)ら息子たちを花形レスラーに育て上げようとしていた。
 ケビンに続いて三男デビッド、陸上選手だった四男ケリー、音楽好きの五男マイクと、父の専制的方針に従って才能を開花させていく兄弟。しかし、その先には思わぬ運命が-。
 60~70年代にジャイアント馬場やアントニオ猪木らと死闘を演じたフリッツ。テレビにくぎ付けになった世代にはその名前が懐かしい。監督のショーン・ダーキンも子どもの頃に熱狂した一人だったという。
 悲劇の始まりはデビッドの日本での客死。念願の世界ヘビー級王者になったケリーは、直後にバイク事故で片足を失い、マイクもリング上で負傷し再起不能に。ケリーとマイクはそれぞれ、絶望の果てに自ら命を絶ってしまう。長男も早世しており、一家は人呼んで「呪われた一族」に。ただ一人生き残ったケビンは、ある決意を固める…。
 数奇な実話に基づく濃密な家族ドラマにして兄弟愛映画。ダーキン監督は、極端に男らしさを求める米国文化を風刺し、子の親離れのテーマにも触れる。
 青春スターのイメージだったエフロンが、葛藤する次男役で演技派に変貌。肉体改造による驚異の胸板に目を見張る。

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