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テーマ : 芸能・音楽・舞台

SPAC 東京駅前で「マハーバーラタ」上演 非日常、ダイナミズム見せる

 静岡県舞台芸術センター(SPAC)は10月19~23日、東京駅を背に、宮城聰芸術総監督演出の「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」を上演した。駅と皇居を結ぶ「行幸通り」に設けられた舞台で、観客を異空間にいざなった。

東京駅を背に上演した「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」の一場面
東京駅を背に上演した「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」の一場面
楽器を演奏する俳優の横で、訪日客らが足を止めて見入った
楽器を演奏する俳優の横で、訪日客らが足を止めて見入った
衣装替えなどを行う「舞台袖」部分も公開
衣装替えなどを行う「舞台袖」部分も公開
東京駅を背に上演した「マハーバーラタ~ナラ王の冒険~」の一場面
楽器を演奏する俳優の横で、訪日客らが足を止めて見入った
衣装替えなどを行う「舞台袖」部分も公開

 古代インドの叙事詩に含まれるロマンス「ナラ王物語」を平安期の日本に置き換え、歌舞伎や人形浄瑠璃の要素を取り入れて創作さされた祝祭音楽劇。2003年の初演以降、14年にフランスのアビニョン演劇祭、15年にロシアのチェーホフ国際演劇祭など海外でも上演し、高く評価されてきた。20年間、主要な役の俳優は変わっていない。今回は宮城総監督が総合ディレクターを務める東京芸術祭のプログラムとして披露した。
 宮城総監督は1年ほど前から東京駅前での公演を構想していたという。「インド叙事詩が平安時代の日本に輸入されていたら、当時の人はどんな絵巻物を描いただろう、という問いから始まった作品。大正時代に駅が開業した時の人々の感情と似ているような気がして、異文化の出合いによる違和感やわくわく感を、芝居を通じて伝えるのにふさわしい場所だと思った」
 客席が舞台前に設けられてはいるが、後方からも鑑賞できるむき出しの野外ステージ。俳優の演技や語り、パーカッションの生演奏に、行き交う人々の話し声や、車や観光バスの音などが混ざった。「この100年余り、演劇は劇場の中で守られ、脆弱[ぜいじゃく]になっていると感じる。ノイズに負けない、パワーやダイナミズムを見せたかった」。その狙い通り、開演すると無料の立ち見席に人垣ができ、周辺のオフィスで働く人や訪日外国人、散歩中の親子が舞台を取り囲むようにして見入った。
 宮城総監督は「日々のせわしない生活によって体は閉じていく。演劇の非日常性がお灸[きゅう]のような役割となってその体を開かせてくれることを、たくさんの人に知ってもらえたのならうれしい」と話した。
 (教育文化部・鈴木明芽)

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