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テーマ : 芸能・音楽・舞台

教え子の演奏に包まれて旅立ち 浜松市民吹奏楽団の初代指揮者塚本さん 亡くなる前日明かした「大好きな曲葬儀に」

 11月25日に81歳で亡くなった浜松市民吹奏楽団初代指揮者の塚本好司さん(浜松市中区)の葬儀が30日、同区で営まれ、楽団員らが集まりトロンボーンやサックスなどの演奏で故人をしのんだ。「音楽のまち」で、大好きだった曲、仲間たちに見送られて旅立った。

塚本好司さんの葬儀で演奏する浜松市民吹奏楽団の団員ら=30日正午ごろ、浜松市中区
塚本好司さんの葬儀で演奏する浜松市民吹奏楽団の団員ら=30日正午ごろ、浜松市中区
浜松市民吹奏楽団初代指揮者を務めた塚本好司さん
浜松市民吹奏楽団初代指揮者を務めた塚本好司さん
塚本好司さんの葬儀で演奏する浜松市民吹奏楽団の団員ら=30日正午ごろ、浜松市中区
浜松市民吹奏楽団初代指揮者を務めた塚本好司さん


 塚本さんは約2年前に胃がんを発症し、闘病の末、息を引き取った。29日夜は「通夜コンサート」と銘打ち、塚本さんの思いを受け継ぐ教え子ら200人以上が演奏あり、拍手ありのにぎやかな“音楽祭”を開催。30日の葬儀は一転、しめやかな雰囲気の中、出棺の際に管楽器の柔らかな音色が会場に響き渡った。
 闘病中も楽団の練習に足を運び、指導に当たった塚本さん。誕生日の10月29日は稽古場で団員から誕生日祝いを受けるなど元気な姿を見せたが、団員たちが指揮棒を振るう姿を見たのはその日が最期となった。
 同楽団の加藤泰司団長(65)は亡くなる前日、病室で面会し、40年以上の付き合いの中で初めて好きな曲を明かされたという。闘病生活を応援しようと、その曲をリモート演奏する約束をして病室をあとにしたが、約束はかなわなかった。
 葬儀では、その曲、日本民謡組曲「わらべ唄」2番の子守歌(兼田敏作曲)を団員が心を込めて演奏した。加藤さんは「きっと、会場でこの曲を聞いて喜んでいるんじゃないかな」と思いを寄せた。
 長男でトロンボーン奏者の修也さん(54)によると、塚本さんは管弦打楽器専門店を経営する傍ら、交流のあったドイツからのビール輸入業を営んだり、子どもたちを喜ばせようと浜松まつりに使用する御殿屋台の製作もしたりと何事にも精力的だった。修也さんは「誰かを驚かせたり、楽しませたりするのが大好きだった。父の理想を再現できたのではないか」と音楽に囲まれた通夜・葬儀を振り返り、「音楽の楽しさ、可能性を教えてくれた父の精神を受け継いでいきたい」と語った。
 (浜松総局・小林千菜美)

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