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テーマ : 芸能・音楽・舞台

心にタッチする音楽を チェロ奏者・上野通明

 超絶技巧も自然に聴かせる豊かな表現力で好演を重ね、注目を集めるチェロ奏者の上野通明。5月24日、東京・サントリーホールで邦人作曲家の作品を弾くリサイタルに挑む。「いつも人の心にタッチできるよう心がけている」と、音楽に懸ける思いを語った。

「美しいものには触れるようにしている。このあいだの札幌公演の時は、大雪の中を劇場まで歩いて景色を楽しんだ」と上野通明
「美しいものには触れるようにしている。このあいだの札幌公演の時は、大雪の中を劇場まで歩いて景色を楽しんだ」と上野通明

 幼少期をスペインで過ごし、海外で長い留学生活も送ってきたからこそ、「日本人らしさとは何か」という問いと改めて向かい合いたかったという今回のプログラム。選曲は「音源を聴いて弾き、シンプルに心に届くかを基準にした」。
 フランスの音楽祭で演奏して絶賛された黛敏郎の「BUNRAKU」や、世界初演となる藤倉大「Uzu」を披露する他、武満徹がフルートのために書いた「エア」を遺族の許可を得て初めてチェロで奏でる。
 「それぞれ書かれた時代が異なり、人が直面する困難、求める新しさも違うけど、その中に普遍的な日本人らしさがある。その感性に共鳴する自分を探しながら演奏したい」と語る上野。「日本の芸術は世界と調和し、その一部になるイメージ」と考えを巡らせる。
 2021年のジュネーブ国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人初の優勝を果たし、一躍知名度を上げた。幼い時から人前で弾くのが好きだったが、うまさを求めるようになると、評価される怖さも知った。だが、コンクールに挑戦するうち「技術を忘れさせる強烈な何か」が大事だと分かった。練習時からテクニックにとらわれず表現を磨くことを意識し、公演では、作曲家の思いを自分の言葉で伝えていく。
 東京以外でもさまざまな公演がめじろ押し。「ありふれた言葉になってしまうけど、聴く人に感動してもらいたい」。照れながらも力強く語った。
         ◇
 上野通明が出演する「広上淳一指揮 NHK交響楽団」は6月1日午後5時から、静岡市駿河区のグランシップで。

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