舞台で子どもたちと共演 Keycoさん 芸術通し愛と元気共有【音楽に包まれて 頂ーITADAKIー名場面㊥】
2011年の「頂」。大きなアート作品をバックに子どもたちとステージに立ったシンガーのKeyco[キイコ]さんは、歌に乗せてライブペイントを行う企画「ITADAKI ART JAM」を「愛と元気をシェアできた。ほかにはない、厚みと重みのあるプロジェクトでした」と振り返る。
4~12歳の36人が公募で集まった。Keycoさんは歌やダンスを教え、事前準備を重ねた。異なる年齢の児童を一つにまとめ上げるのは「これまで経験がないほどの苦労が伴った」という。
当日は、頂のアート演出を一手に担ってきたペインティングユニット「Gravityfree」と共に臨んだ。東日本大震災直後。自由と尊敬、共存をテーマに掲げた。フェースペイントを施し、おそろいのポンチョを着た子どもたちが横一列に並ぶステージ。Keycoさんはその中央に立ち、ソウルフルな歌声を響かせた。子どもたちはコーラスで盛り上げ、手のひらを使ってスケールの大きな絵を仕上げ、会場の吉田公園を彩った。
頂は08年の初開催当初から子どもに優しいフェスとして知られ、多くの家族連れが思い出を積み重ねてきた。Keycoさんも「家族同伴で参加しています。学校では教えてくれないことが、フェスにはたくさんある」と実感を込める。「太陽のパワーの下に生み出される音楽や芸術に触れる経験が、子どもたちの感性を豊かにする」
「頂はパラダイス。現実を忘れ、心から楽しみ、エネルギーをチャージして現実に戻っていくための空間」。そんなパラダイスも20、21年は開催を見送ったが、22年に3年ぶりに復活し、今年は観客への制約を最小限にとどめる。「音楽の『開放する力』を最大限引き出したい」という思いを強くし、MCとして登壇する。「家族同然の付き合い」と信頼を置くレゲエシンガーPJさんとのコンビはもはや、頂に不可欠な要素だ。
◇会場 県営吉田公園(吉田町)
◇出演 スチャダラパー、水曜日のカンパネラ、青葉市子、フィッシュマンズ、PUFFY、渋さ知らズオーケストラほか全28組
◇公式サイト https://www.itadaki-bbb.com/2023/