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テーマ : 芸能・音楽・舞台

てぬぐい、眺めて使ってウキウキ/佐藤ゆず【SPAC俳優 言葉をひらいて⑲】

 私には収集癖がある。

てぬぐい【手拭い】
てぬぐい【手拭い】

 小さい物が多い。シール、セミの抜け殻、ドングリ、ネコのひげ、フィギュア、箸置き、シーグラス、包装紙、ポストカード。
 日々使っていく物もあるけれど、特別活用するわけじゃないことも多い。集めて満足して、自然に返すこともたくさんある。返せなくて使えなくて集まった物たちはというと、一つ一つ並べて触って眺めて「うふふふふ」と楽しむ。そして、またそっとしまう。以上。それが定期的に行われる。この儀式は、私の心の栄養補給になっているのでとても大切なのだ。
 前回のコラムでも触れたが、私はちゃらんぽらんで、だらしない。平たく言うと、片付けや整理整頓がとっても苦手。収集癖との合わせ技は部屋の平穏を脅かすということを自覚しているので、かなり自重している。が、それでも集まってしまう、集めてしまう物がある。
 それは、手拭い。専門店はもちろん、作家さんの作品、浴衣の余り布で作ったもの、記念品、温泉地のお土産などなど、いろんな手拭いが畳んで積んである。中でも、祖母が残した、白地に柿渋のような色で大仏様と3匹の犬が戯れている絵の手拭いが一番のお気に入り。ぼーっと眺めていると、頭の中のしがらみが程よくほぐれて旅立っていく感覚があって、私の必需品だ。
 いつから増え始めたのかはっきりしたことは覚えていないが、気がついたら竹の買い物カゴ一つが満杯になった。そしてあふれた分は、玄関の棚に畳んで並んでいる。改めて数えてみたら99枚あった。大台まであと1枚。煩悩の数は超えないようにしよう。
 とは言え、日々使っているものだし、日常に必要だし、無駄にしているわけじゃないし…と、自分にたくさんの言い訳をしながら、今日もお供に連れていく手拭いをウキウキ選ぶ。

 さとう・ゆず 新潟県出身。2009年よりSPAC作品に出演。24年1~3月、宮城聰・寺内亜矢子演出「ばらの騎士」に出演予定。俳優の他にヨガ講師、アマチュアカメラマン、ラジオパーソナリティーなどの顔も持つ。動物オタク。

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