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テーマ : 芸能・音楽・舞台

ボブ・ディランは「ラストチャンス」かも?大物アーティスト空前の来日ラッシュの理由とは CD志向強く、熱烈ファン多い日本

 欧米の著名大物アーティストたちの空前ともいえる来日公演ラッシュが展開されている。新型コロナウイルス禍ですっかり途絶えていた海外アーティストの公演だったが、コロナ禍が一段落し始めた2022年夏の野外フェスのころから姿を見せ始めた。秋に入国規制が緩和されると本格化し、オールドファンに依然人気のKISS、グラミー賞15冠に輝いた天才ブルーノ・マーズらが登場した。最大の注目は、4月6日から日本ツアーを始めたボブ・ディランだろう。今後、再来日がかなうかどうか分からない81歳のベテランのステージは、ファンにとって千載一遇のラストチャンスかもしれない。

ボブ・ディランの日本ツアー初日を迎え、会場に入る人たち=4月6日、大阪市
ボブ・ディランの日本ツアー初日を迎え、会場に入る人たち=4月6日、大阪市
ボブ・ディラン(ゲッティ=共同)
ボブ・ディラン(ゲッティ=共同)
第60回米グラミー賞の授賞式で、「24K・マジック」が最優秀アルバム賞に輝いたブルーノ・マーズ(中央)=2018年1月28日、ニューヨーク(ロイター=共同)
第60回米グラミー賞の授賞式で、「24K・マジック」が最優秀アルバム賞に輝いたブルーノ・マーズ(中央)=2018年1月28日、ニューヨーク(ロイター=共同)
スティング=2022年12月2日撮影(ロイター=共同)
スティング=2022年12月2日撮影(ロイター=共同)
エリック・クラプトン(ゲッティ=共同)
エリック・クラプトン(ゲッティ=共同)
ボブ・ディランの日本ツアー初日を迎え、会場に入る人たち=4月6日、大阪市
ボブ・ディラン(ゲッティ=共同)
第60回米グラミー賞の授賞式で、「24K・マジック」が最優秀アルバム賞に輝いたブルーノ・マーズ(中央)=2018年1月28日、ニューヨーク(ロイター=共同)
スティング=2022年12月2日撮影(ロイター=共同)
エリック・クラプトン(ゲッティ=共同)

 なぜ、大物の来日ラッシュが続くのだろうか。音楽関係者によると、日本は洋楽の人気が高い上、インターネットを介して聞くストリーミングが主流の欧米に比べてCDアルバムを購入する志向がまだ根強いことなどが背景にあるようだ。(共同通信=広瀬圭一)
 ▽日本の音楽市場は米国に次いで世界2位
 2023年が明けると来日公演の決定が加速した。英国勢では、ブリティッシュロックの雄ディープ・パープル、スティング、大御所エリック・クラプトン、5月のコールドプレイと名を連ねた。
 米国勢も負けていない。「永遠の青年」ともいわれるジャクソン・ブラウン、結成50周年を迎えたドゥービー・ブラザーズと西海岸のレジェンドが続く。
 音楽産業関係者の見立てによれば、来日ラッシュには主に二つ理由がある。まずは、コロナ前に成約していた興行を実現させる必要があることだ。ディランは2019年に始まったワールドツアーの一環で、20年春に日本で演奏する予定だったが、コロナで吹き飛んだ。今回の公演は、2016年のノーベル文学賞受賞後初の日本ツアーで、大阪、東京、名古屋を回る。
 もう一つの理由は、日本の音楽市場の特徴にあるという。
 英国に本部を置く国際レコード産業連盟(IFPI)が今年3月に発表した2022年の世界音楽市場は前年比9%増の262億ドル(約3兆4千億円)に拡大した。ストリーミング購入はコロナ禍で伸び、世界販売の67%を占めるまでになった。
 IFPIによれば、日本の市場規模は意外と大きく、米国に次ぐ世界2位を維持。中国は伸びが著しいが5位で、まだ規制も多い。
 音楽産業に詳しい関係者は「日本市場を支えるのはJ―POPやK―POP人気だけでなく、洋楽への支持も根強い。楽曲販売額の4割前後が洋楽という見方もある」と話す。
 ▽アルバム志向強く、公演料は高め
 加えて、日本では音楽をCDアルバムで聞く傾向が強い。CDは3千円ほどで売れる。一方、欧米で主流になったストリーミングでは1曲100円程度で、アルバムの全曲をダウンロードする人はそう多くない。
 日本の洋楽ファンはCDごと買ってくれる傾向があり、一般的にライブの公演料も強気だ。外国為替市場は円安でもあり、海外アーティストの公演契約料は円に換算すると高くなる。一方で、ファンとしては、来日ラッシュが競争を起こしてチケット代が少しでも安くなってほしいと願うが、例えばクラプトン公演はS席2万円と、そうもいかないようだ。
 表現はよくないが、日本が「外国人タレント天国」といわれる由縁で、コロナで収入が滞ったアーティストにとって「今だ!行かない手はない」という状況にある。これがポストコロナの来日ラッシュの真相のようだ。
 ▽74歳の伸びとつやのある歌声に聴衆総立ち
 ただ、なかなか聴く機会のない大物アーティストを日本に居ながらにして、生で聴けるというのだから、ファンには大きなプラスだろう。
 筆者もこれまでタイミングが合わずに訪れるチャンスのなかったジャクソン・ブラウンの最終(追加)公演を3月31日、東京・渋谷のオーチャードホールで堪能した。74歳になったとは思えない伸びとつやのある歌声で満席の聴衆を魅了。S席1万6千円のチケット代を意識してか、休憩をはさんだ2部制とし、ステージは3時間を超えた。最後は名だたるヒット曲を一気に熱唱。総立ちの聴衆とともに一夜を駆け抜けた。

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