あなたの静岡新聞
▶ 新聞購読者向けサービス「静岡新聞DIGITAL」のご案内
あなたの静岡新聞とは?
有料プラン

テーマ : 芸能・音楽・舞台

「エブリシング・エブリウェ― 21世紀最先端カンフー映画【シネマアイズ】

 ブルース・リーが亡くなって50年。すっかり下火となったカンフー映画だが、最先端の技術と笑いを盛り込んで新たな名作が誕生した。2人組の「ダニエルズ」が監督した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」。長い名前だが、荒唐無稽な物語に圧倒されるうちにあっという間にエンディングを迎える不思議な一本だ。

(c)2022 A24 Distribution,LLC.All Rights Reserved.
(c)2022 A24 Distribution,LLC.All Rights Reserved.

 主人公は武術家…ではなく、コインランドリー店のおばさんエブリン(ミシェル・ヨー)。父親の介護に反抗期の娘、優しいが頼りない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)に囲まれ、山積する問題にいら立っていた。
 そんな時“別の宇宙のウェイモンド”が乗り移った夫から「全世界にカオスをもたらす悪を倒せるのはエブリンだけ」と世界の命運を託される。悪の手先に追われ、「ばかばかしい行動」を起点にマルチバース(多元宇宙)へジャンプする術を伝授されて、壮絶な闘いが幕を開ける。
 かつて香港を代表するアクションスターとして活躍したヨーに、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」「グーニーズ」の子役だったクァン。見る影もなく老けた外見で登場する2人が、マルチバースではキレッキレの大立ち回りを披露する。
 想像を超えた展開はテンポ良く、見る者を振り回す。気になるのは何度か挿入される「あのとき、別の道を選んでいれば…」という後悔のシーン。ウェイモンドと共に故郷を離れるエブリンに、英国から中国に返還された香港の姿が重なる。
 しかし悔やんでも仕方がない。エブリンは世界を、そして家族を守れるのか。現実と仮想空間がない交ぜの21世紀を、目に見える形で表す140分を体感せよ!(朗)
 【アナザーアイ】マルチバース間のハイパージャンプを、CGではなく演技で見せる描写が何とも新鮮。笑いありアクションあり涙あり。極彩色のカオスにダイブ!(涼)

いい茶0
▶ 追っかけ通知メールを受信する

芸能・音楽・舞台の記事一覧

他の追っかけを読む