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1月静岡で「ドン・キホーテ」 全幕通し心温まる演目 ウクライナ国立バレエ芸術監督・寺田宜弘

 ロシアによる侵攻が続くウクライナの首都キーウにあるバレエの名門「ウクライナ国立バレエ」が2024年1月、静岡市葵区で「ドン・キホーテ」全3幕を上演する。22年12月、日本人で初めてバレエ芸術監督に就任した寺田宜弘は「このバレエ団が40年近く守り続けている作品。ユーモアにあふれ、心が温かくなる演目を楽しんでほしい」と来場を呼びかけた。

日本人初のウクライナ国立バレエ芸術監督に就任して1年を迎えた寺田宜弘。バレリーナを目指す子どもたちに「バレエは表情で感動させることができる。表現する力を磨いてほしい」と語った(撮影・oleksandra.zlunitsyna)
日本人初のウクライナ国立バレエ芸術監督に就任して1年を迎えた寺田宜弘。バレリーナを目指す子どもたちに「バレエは表情で感動させることができる。表現する力を磨いてほしい」と語った(撮影・oleksandra.zlunitsyna)

 寺田はかつて「キエフ・バレエ」の名で知られていたウクライナ国立歌劇場のバレエ団の芸術監督として、空襲の中でも公演を続けている。公演中でも警報が響けば地下に避難する生活。それでも国内外からキーウに戻ってきた若いダンサーたちを熱心に指導する。
 11歳で単身キーウに渡りバレエ学校へ。同歌劇場で踊り、バレエ学校の芸術監督を務めた。その教え子たちが現在、ステージで活躍する。「劇場にとって若いダンサーたちは大事な存在。文化をつなぐことが私の役目」と、芸術監督の責任に向き合っている。
 今年12月から24年1月の来日では9都市で公演を行う。「ドン・キホーテ」のほか、新たな演出で世界初演となる「ジゼル」やオリジナルの「雪の女王」の日本初演も。「日本公演の期間、団員たちは空襲警報におびえることのない平和な日々を過ごせる。精神的にとても大切な時間でもある」。日本の後はイタリア、カナダを回る。世界ツアーを成功させるため、団員と共に練習に励む。
 (教育文化部・名倉佐記)

 ウクライナ国立バレエの静岡公演(静岡新聞社・静岡放送主催)「ドン・キホーテ」全3幕は、静岡市民文化会館大ホールで2024年1月7日午後4時開演。チケットは全席指定、SS席1万5000円、S席1万4000円、A席1万1000円など。光藍社チケットセンターやチケットぴあなど各プレイガイドで販売中。公演に関する問い合わせは静岡新聞社・静岡放送事業部<電054(281)9010>(土日祝日を除く午前9時~午後5時)へ。

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