テーマ : ウクライナ侵攻

永続的平和実現へ協力 日ウクライナ首相 会談

 岸田文雄首相は19日、ウクライナのシュミハリ首相と官邸で会談した。ロシアによるウクライナ侵攻を踏まえ、一日も早く公正かつ永続的な平和を実現するため協力する方針で一致した。両氏は対ロ制裁の強化を含む今後の対応を協議。日ウクライナ関係の強化を目指し、機密情報の交換を可能にする情報保護協定の締結に向けた交渉を正式に開始すると確認した。

共同記者発表を終え、握手するウクライナのシュミハリ首相(左)と岸田首相=19日午後、首相官邸
共同記者発表を終え、握手するウクライナのシュミハリ首相(左)と岸田首相=19日午後、首相官邸

 岸田首相は会談で「国際社会がウクライナを支えるよう改めて機運を高めなければならない。日本としても官民一体で復興に向けて取り組みを強化したい」と強調。シュミハリ氏は、ゼレンスキー大統領による「さまざまな分野での協力、支援に感謝する」との岸田首相へのメッセージを伝えた。
 ロシアが実効支配する北方領土問題に関し、シュミハリ氏は会談後の共同記者発表で「ウクライナにとっても、日本にとってもナンセンスだ」と指摘。日本の立場を支持する考えを示した。
 情報保護協定を巡っては、岸田首相が昨年3月にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した後、交渉入りに向けて調整を進めていた。
 シュミハリ氏の来日はロシアの侵攻後初めて。19日夜には林芳正官房長官がシュミハリ氏との夕食会を開いた。

 日ウクライナ経済復興推進会議の共同声明要旨は次の通り。
 【2国間関係】
 両国間の特別なグローバル・パートナーシップに基づく包括的な協力を強化し、深化させる。
 【経済支援】
 日本は、ウクライナの第1次産業から3次産業に至る網羅的な経済発展の達成を目的として、ウクライナ経済の安定を確保するために必要な長期的支援を提供する。
 日本は「地雷対策・がれき処理」「生活再建」といった初期の緊急復旧支援に始まり「農業」「バイオなど革新的な製造業」「デジタル・IT」の発展といった経済復興および産業高度化まで継続的な支援を表明。「エネルギー・交通インフラ」の回復、「汚職対策・ガバナンス強化」の基盤を構築する重要性を強調した。
 両政府は両国の民間の参加が、具体的なプロジェクトを実現する鍵であると強調した。
 【対ロシア】
 両政府は、対ロシア制裁の維持と強化がロシアの軍事活動を抑止する上で極めて重要かつ効果的な措置であると一致し、制裁の迂回(うかい)を防ぐ行動を取る決意を確認した。
 【投資協定】
 両政府は新たな租税条約への署名と、投資協定の見直しのための交渉開始を歓迎した。
 【事務所設置】
 日本はウクライナ側からの要請を受け、日本貿易振興機構(ジェトロ)事務所をウクライナの首都キーウ(キエフ)に設置する。
 【査証】
 日本は民間訪問を促進するため、ウクライナ国民への入国査証(ビザ)発給要件を緩和する。

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