テーマ : ウクライナ侵攻

ウクライナ女性に研修提供 生計向上や復興の後押しを

 世界各国の人材育成などを担う国連訓練調査研究所(UNITAR、ユニタール)広島事務所は、ロシアによる侵攻で隣国ポーランドに避難しているウクライナ人女性を対象に、デジタル分野の技術を身に付けられる無料のオンライン研修を提供している。避難先での生計向上や、将来のウクライナ復興を後押しする狙いだ。

オンライン研修の成果を発表する研修生=20日、ワルシャワ(ユニタール広島事務所提供)
オンライン研修の成果を発表する研修生=20日、ワルシャワ(ユニタール広島事務所提供)

 「デザインの制作など多くを学んだ。プログラムを通じて支援ネットワークを得られ、世界は私たちを忘れていないと感じられた」。2022年3月にポーランドの首都ワルシャワに避難したカテリーナ・スクリアさん(28)は研修の意義をこう強調する。
 ウクライナ東部ドニプロ出身で、祖国ではデザイナーを目指していた。新たな知識やスキルを身に付けられる機会にしたいと思い、昨年10月から始まった研修に参加した。今後は「転職し、家族や母国を支えたい」と意気込んだ。
 ユニタール広島事務所による研修はウェブデザインやサイバーセキュリティーなど4コース。研修生はオンラインで週1回の講義に参加し、課題に取り組む。2月20~21日に成果発表を終えたが、3月末まで研修生のサポートを続ける。
 ユニタールによると、約千人が応募し、10~60代の約500人が参加。応募時の調査では、約65%が無職と回答していた。担当者は「ウクライナで学歴や職歴があっても、避難先では環境や言語の変化で困難な状況にある人が多い」と話す。
 広島事務所のインターンとして研修に携わるウクライナ人も。北部チェルニヒウ出身で、スペインの大学院に通うヤロスラバ・トルベノクさん(28)は「参加者はとても熱心で、以前とは全く異なる環境でも新たな知識を得ようとしている。社会的に脆弱なウクライナ人女性を支えていきたい」と語った。
 広島事務所の三上知佐所長は「研修を通じ、人々の願いがかなえられるよう全力で支援する」と述べた。

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