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侵攻2年、見えぬ出口 前線ロシア優位、ウクライナ正念場 両軍戦死19万人

 【キーウ共同】ロシアのウクライナ侵攻開始から24日で2年。両軍の戦死者は計19万人以上と指摘される。ロシアは軍需産業をてこ入れし、北朝鮮やイランからも武器を調達、前線で優位に立つ。米国の軍事支援に陰りが見えるウクライナは正念場。戦争の出口は見えず、欧州では将来、ロシアが北大西洋条約機構(NATO)加盟国へ武力攻撃に踏み込むとの警戒感も広がる。

多数の市民が虐殺されたキーウ近郊ブチャにある墓地を訪れ、夫の遺影に手を伸ばすリュドミラ・キジロワさん(69)。夫は2022年3月、自宅庭でロシア軍に射殺された=23日(共同)
多数の市民が虐殺されたキーウ近郊ブチャにある墓地を訪れ、夫の遺影に手を伸ばすリュドミラ・キジロワさん(69)。夫は2022年3月、自宅庭でロシア軍に射殺された=23日(共同)

 バイデン米政権は23日、ロシアに対する大規模な追加制裁を発表。日米欧など30以上の国や機関は23日、ロシアに即時撤退や北朝鮮からの武器調達停止を求める共同声明を国連本部で発表し、結束を確認する。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は2月、国民的人気があったザルジニー軍総司令官の解任を断行した。世論調査でゼレンスキー氏への不支持が4割に上り、政権は欧米の支援疲れと国内結束の乱れという内憂外患に直面している。
 ウクライナは昨年6月に反転攻勢に出たが、強固な防衛線を築いたロシアが阻止し失速。ロシア軍は昨秋以降、東部で攻勢に転じ、今月、ウクライナ軍が死守してきた東部ドネツク州の要衝アブデーフカを陥落させた。
 兵器不足が指摘されていたロシアは、北朝鮮からミサイルや100万発規模とされる砲弾を調達。イランによる弾道ミサイル供与の報道もある。
 ウクライナにとっては欧米の武器支援が生命線。ドイツのシンクタンクによると軍事支援表明額は米国が422億ユーロ(約6兆9千億円)で他国を大きく引き離す。だが米下院での支援予算の承認が進まず、先行きは予断を許さない状況だ。
 一方、英独仏は今年、ウクライナと2国間の安全保障協定を締結。欧州連合(EU)も、4年間で計500億ユーロを支援に充てることで合意した。
 ウクライナの民間人死者は1万人を超えた。両軍ともに死傷者の発表を停止しているが、米紙ニューヨーク・タイムズは昨年8月、複数の米当局者の推計として、戦死者がロシアで約12万人、ウクライナが約7万人に上ると報じた。

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