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米欧後手 支援の司令塔不在 プーチン大統領5選 ロシア兵力増強恐れ 英独仏 足並みそろわず【ウクライナ侵攻】

 【ベルリン時事】ウクライナに侵攻するロシアのプーチン大統領は5選を決め、継戦への足場を固めた。対照的に、ウクライナの頼みの綱である西側諸国の支援は、司令塔不在のままで、後手に回っている。関連予算が議会を通らない米国は11月の大統領選まで身動きが取れず、欧州のけん引役である英独仏は足並みがそろっていない。

フランスのマクロン大統領(左)、ドイツのショルツ首相(中央)、ポーランドのトゥスク首相=ベルリン(EPA時事)
フランスのマクロン大統領(左)、ドイツのショルツ首相(中央)、ポーランドのトゥスク首相=ベルリン(EPA時事)

 ウクライナ軍情報機関の報道官は18日、ロシアでは選挙後に「より公然と(予備役の)動員が行われるだろう」と現地メディアで語った。西側の支援が滞る間に、物量の差で圧倒されかねないとの懸念がにじむ。
 最大の支援者だった米国では、「一銭も出すつもりはない」とも言われるトランプ前大統領を担ぐ共和党が、追加支援に反対を続けている。こうした停滞感の打破を狙うマクロン仏大統領は、支援国からのウクライナ派兵について「どこかの時点で実施しなければならないだろう」と言及するなど、タカ派的な姿勢を打ち出した。
 しかし戦争に巻き込まれることを恐れるドイツ国内支持層の意をくむショルツ独首相とかみ合っていない。ドイツは米国に次いで支援額が多いが、長距離ミサイルの供与を拒否。国内外で消極的だと批判の声も上がる。ほころびを見逃さないロシア側は1日、傍受した独空軍内の会議音声を公開。英国軍のミサイル運用の機密にも触れた内容で、ウォレス前英国防相は、ドイツには「(情報の)安全性も信頼性もない」と怒りをあらわにした。
 汗をかいているのは東欧諸国だ。チェコは、カナダやデンマークと共に、西側諸国以外からも含めたウクライナ向けの砲弾調達を推進し、数十万発分を確保したという。ポーランドのトゥスク首相は訪米直後の15日、ベルリンで独仏首脳と会談。米国の伝令役を務めつつ、「欧州の間に意見の相違があるという風評は間違いだ」と結束の演出に腐心した。

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