テーマ : ウクライナ侵攻

【ウクライナ無人機攻撃】ロシアの石油施設に標的拡大 遠隔地、収入源打撃狙う

 ウクライナがロシアの石油関連施設への無人機攻撃を拡大している。2日には国境から約千キロ離れた施設を標的にし、これまでにロシア石油精製能力の14%が停止したとの推計もある。主要収入源である石油関連産業に打撃を与えて戦争を続ける能力をそぐ狙いだが、エネルギー価格高騰を危ぶむ米国はウクライナに自制を呼びかける。

ロシア・リャザニ州で煙を上げる石油関連施設(奥)=3月13日(タス=共同)
ロシア・リャザニ州で煙を上げる石油関連施設(奥)=3月13日(タス=共同)
ロシア・リャザニの製油所に到着した消防車=3月13日(タス=共同)
ロシア・リャザニの製油所に到着した消防車=3月13日(タス=共同)
ロシア・タタルスタン共和国ニジネカムスク、ウクライナ
ロシア・タタルスタン共和国ニジネカムスク、ウクライナ
ロシア・リャザニ州で煙を上げる石油関連施設(奥)=3月13日(タス=共同)
ロシア・リャザニの製油所に到着した消防車=3月13日(タス=共同)
ロシア・タタルスタン共和国ニジネカムスク、ウクライナ

 ウクライナは1月以降、少なくとも十数回、ロシア本土の石油精製や貯蔵の施設を無人機で攻撃。ウクライナ情報機関は2日、ロシア中部タタルスタン共和国ニジネカムスクの製油所を無人機で攻撃し、火災を引き起こした。ロイター通信によると、国内で3番目に規模が大きいとされる。
 ウクライナは遠隔地を攻撃できる無人機の開発、製造に力を注いできた。フェドロフ副首相兼デジタル転換相は「ロシアの製油所を攻撃している無人機の航続距離は700~千キロだが、千キロ以上を飛行できる型もある」と明かした。
 ウクライナはロシアの石油収入が軍事費に回され、精製した燃料は戦車や戦闘機などに使われているとみている。無人機作戦を担う国防省情報総局の報道官は「製油所は正当な軍事目標だ」と断言。保安局(SBU)長官も「プーチン(ロシア大統領)に(戦争継続の)酸素を与えないよう軍事予算を最大限減らす」と訴えた。
 攻撃拡大も影響し、今年に入って原油価格は上昇傾向にある。米国では経済への悪影響に懸念が広がり、バイデン政権はウクライナにロシア領内の製油所攻撃を控えるよう働きかけた。
 ロシア本土への攻撃拡大でロシアがより強硬な対抗策を取り、戦争がエスカレートすることへの懸念もあるとみられる。
 ゼレンスキー大統領は3月下旬、米紙ワシントン・ポストに、製油所攻撃への米国の反応は「好意的ではない」と認めた。ただ「自分たちの無人機を使っており、誰も止められない」と主張。欧米が供与したものではなく自前の兵器による攻撃だとして、口出しは無用との立場だ。
 ゼレンスキー氏はロシアもエネルギーインフラを攻撃していると指摘し「ロシア社会にもガソリンやディーゼル、電気なしで暮らすことがどういうことか分かってもらう」と述べ、攻撃継続の決意を示した。(キーウ共同=小玉原一郎)

いい茶0

ウクライナ侵攻の記事一覧

他の追っかけを読む
地域再生大賞