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ロシア銃乱射テロ1週間 「ウクライナ関与説」けん伝 プーチン氏、責任論回避の狙いも

 ロシア・モスクワ郊外のコンサートホールでの銃乱射テロから29日で1週間。死者は143人、負傷者は約370人に上り、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。プーチン大統領は「過激なイスラム主義者の犯行」と認める一方、犯行の背後にウクライナがいたとする見方を繰り返し主張。ウクライナ侵攻支持に世論を誘導する狙いがありそうだ。

モスクワ郊外の銃乱射テロ現場を犠牲者追悼のため訪れ、抱き合う女性ら=27日(タス=共同)
モスクワ郊外の銃乱射テロ現場を犠牲者追悼のため訪れ、抱き合う女性ら=27日(タス=共同)

 テロはプーチン氏が通算5選を決めた大統領選の1週間後で、米国は今月、テロ計画の情報を入手しロシア側に伝えていた。大規模テロを防げなかったことへの責任論が浮上することを回避する狙いもあるとみられる。
 関与を全面否定するウクライナのゼレンスキー大統領は26日、プーチン氏が「病的で冷笑的だ」と厳しく非難した。
 プーチン氏は実行犯がウクライナ国境へ逃げ、越境の「窓口」も用意されていたと主張。ボルトニコフ連邦保安局(FSB)長官も実行犯らの証言でウクライナの関与は「確認された」とする。
 一方、ベラルーシのルカシェンコ大統領は26日、テロ直後にプーチン氏の要請を受けてロシアとの国境を封鎖しており「彼らはベラルーシに入れないのを見て、ウクライナ国境に向かった」のだと指摘した。
 米ブルームバーグ通信は26日、プーチン政権高官らはウクライナ関与の証拠はないとの見方でおおむね一致しているものの、テロを侵攻支持への結集に利用する方針だと伝えた。
 実行犯は22日夜、モスクワ北西クラスノゴルスクの6千人収容のホールに車で乗り付け、ロックグループの公演前に銃を乱射、ガソリンをまいて放火し車で逃走した。当局は中央アジア・タジキスタン国籍の実行犯4人を含む8人を逮捕した。
 英BBC放送は、実行犯のうち3人についてISの犯行声明と、ロシア当局が拘束した際の画像の服装が一致していることを確認したと伝えた。
 現場では市民が連日花を手向けている。移民や外国人労働者の増加への警戒感が強まり、ソ連崩壊後に執行停止した死刑の復活を求める声も出ている。

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