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北朝鮮製ミサイル「品質低い」 命中2割とウクライナ検察

 【キーウ共同】ロシアがウクライナに発射した北朝鮮製の弾道ミサイルについて、ウクライナ検察当局が標的への命中率が約2割にとどまるなど「品質が非常に低い」と分析していることが14日、軍と協力してミサイルの残骸を調べた検事総長事務所への取材で分かった。発射数が約50発に及んでいることも判明。北朝鮮の弾道ミサイルで計24人が死亡したという。

北朝鮮のKN23と断定されたミサイルの残骸=1月、ウクライナ・キーウ(共同)
北朝鮮のKN23と断定されたミサイルの残骸=1月、ウクライナ・キーウ(共同)

 北朝鮮は、実戦に初めて投入されたミサイルのデータをロシアから入手し、迎撃回避や攻撃の能力向上を目指しているとされる。同事務所戦争犯罪局のユーリー・ベロウソフ局長は「北朝鮮はウクライナをミサイル実験場にしているようだ」と懸念を表明した。
 ベロウソフ氏によると、全体の約8割が標的に命中せず、半数は着弾前に空中で爆発したという。ウクライナの防空システムによる迎撃を回避する能力がどの程度あるかは捜査中だとした。
 ロシアが発射しているのは、同国の弾道ミサイル「イスカンデル」に酷似した短距離弾道ミサイル「KN23」や、米国の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」に酷似した「KN24」。ベロウソフ氏はKN23は「間違いなくイスカンデルのコピーだ」と指摘した。
 ただ北朝鮮の弾道ミサイルは、命中精度が「極めて高い」イスカンデルと比べて品質が低いとして、「製造方法に問題があるか、精度を高めるための十分な部品を北朝鮮が持っていない可能性がある」と推測した。
 発射数に関してコスチン検事総長が2月16日、地元メディアに対し、少なくとも24発になったと発言していた。約1カ月間で50近くとほぼ倍増しており、ベロウソフ氏は「数が常に増えている」と強調し、今後も増加する可能性を示唆した。
 米紙ニューヨーク・タイムズは1月、米欧当局者の話として、北朝鮮からロシアに輸送されたミサイルは50未満と報じた。既に50近くが使われており、ロシアに搬送されたミサイルはさらに多い恐れが出てきた。
 固体燃料式のKN23やKN24は迅速な発射が可能で、変則的な軌道で飛行するとされる。北朝鮮は日本海への発射実験を繰り返してきた。

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