テーマ : ウクライナ侵攻

ロシアでスターリン容認拡大 ウクライナ侵攻背景、戦勝を評価

 ウクライナ侵攻を続けるロシアで、ソ連の独裁者スターリンを容認する空気が広がりつつある。侵攻作戦を、第2次大戦に次ぐ「国の命運を決める戦い」と位置付けてプーチン政権が国民の結集を図る中、当時の指導者で大戦を勝利に導いたスターリンの「功績」が見直されているようだ。

モスクワの「赤の広場」脇にあるスターリンの墓を訪れた人々とスターリンの肖像画=21日(タス=共同)
モスクワの「赤の広場」脇にあるスターリンの墓を訪れた人々とスターリンの肖像画=21日(タス=共同)

 スターリン生誕144年の今月21日。ロシア共産党のジュガーノフ委員長らがモスクワの「赤の広場」脇にあるスターリンの墓に献花した。
 侵攻を支持するジュガーノフ氏は「戦争に勝つには社会的公正を実現し国民を団結させなければならない」と指摘。スターリン時代の工業化と核戦力の増強が「今も国民を守っている」と強調した。
 独立系レバダ・センターが実施した今年7月の世論調査では、スターリンに「敬意」「親しみ」「感嘆」を感じる人は計63%で、侵攻前の2021年5月の計60%から微増。プーチン政権発足直後の01年4月の38%からは大きく伸びた。
 モスクワ中心部の大型書店は今秋からスターリン関連書籍コーナーを設置。スターリン著作集や伝記などをずらりと並べている。
 過去の指導者への評価を尋ねた8月の調査で、スターリンはピョートル大帝、エカテリーナ2世に次ぐ3位。65%が「肯定的」と回答した。調査を依頼した政治学者オルロフ氏はロシア紙コメルサントに「ピョートルとエカテリーナが評価されるのは、国の発展と近代化推進が重要と国民が考えているからだ」と指摘。スターリンが1位でなかった結果に「仰天した」と述べた。
 ロシアでスターリンは戦勝が評価される一方、反対派を弾圧した1930年代の大粛清に対する批判も根強い。(共同)

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