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日ウクライナ会議 経済復興で協力56文書 農業やデジタル分野 

 ロシアによる侵攻が続くウクライナ支援策を話し合う「日ウクライナ経済復興推進会議」が19日、東京都内で開かれた。岸田文雄首相は基調講演で、日本の戦後・災害復興の知見、民間の先進的技術を活用し、官民一体となってオールジャパンで取り組むと表明。「日本ならではの貢献」をアピールした。地雷対策など復旧支援で158億円の無償資金協力を決定。首都キーウ(キエフ)への渡航制限の特例措置を発表した。農業やデジタルといった7分野で計56の協力文書を交わした。

「日ウクライナ経済復興推進会議」でウクライナのシュミハリ首相(左)と握手する岸田首相=19日午前、東京都千代田区(代表撮影)
「日ウクライナ経済復興推進会議」でウクライナのシュミハリ首相(左)と握手する岸田首相=19日午前、東京都千代田区(代表撮影)

 現地で戦闘が続く中、事業を速やかに実現できるかどうかが課題だ。24日で侵攻開始から2年となる。
 首相は講演で「ウクライナでは戦争が続き、状況は決して容易ではないが、経済復興を進めることは未来への投資だ」と指摘。キーウに日本貿易振興機構(ジェトロ)事務所を設置、事業に従事するウクライナ関係者への査証を緩和すると語った。
 ウクライナのシュミハリ首相も演説し「両国間の協力の新しいスタートを切る日だ」と強調。岸田首相に対し、ウクライナを再び訪問するよう要請した。
 両政府は共同声明を発表。支援分野として「地雷対策・がれき処理」「生活再建」「農業の発展」「バイオなど革新的製造業」「デジタル・IT」「エネルギー・交通インフラ」「汚職対策・ガバナンス強化」を挙げた。対ロシア制裁の維持と強化がロシアの軍事活動を抑止するために効果的な措置であると一致し、制裁の迂回(うかい)を防ぐ行動を取る決意を確認した。
 両政府は双方の投資を促す新しい租税条約に署名。投資協定改正の交渉を開始する。158億円の無償資金協力で、地雷除去機や仮設橋などの提供を進める。
 渡航制限の特例措置は、ウクライナ全土への退避勧告を維持した上で、企業や団体が安全対策を準備して渡航計画を提出すればキーウに入ることを可能とする内容。
 会議は両政府と経団連、ジェトロの共催。ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオメッセージを寄せる予定だったが、ウクライナ側の都合で見送られた。

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