テーマ : ウクライナ侵攻

ロシア兵捕虜の人道的処遇を強調 ウクライナ西部の収容施設公開

 【キーウ共同】ウクライナ国防省は6日までに、同国西部にあるロシア軍兵士の捕虜収容施設の内部を共同通信などに公開した。ロシアとウクライナは3日、侵攻後で最大規模の捕虜交換を実施。ウクライナ側はロシア軍が捕虜を射殺した疑いがあると主張する一方、自らは捕虜を人道的に処遇していると強調する。公開された施設では、捕虜は大部屋で寝起きし日中は軽作業に従事、医療設備も備えられていた。

娯楽室でチェスを指すロシア兵の捕虜ら=2023年12月、ウクライナ西部の収容施設(共同)
娯楽室でチェスを指すロシア兵の捕虜ら=2023年12月、ウクライナ西部の収容施設(共同)

 昨年12月下旬、鉄条網を巡らせたコンクリート塀に囲まれた施設敷地に入ると、寒空の下、100人ほどの男たちが後ろで手を組んで並んでいた。そろいの黒い毛糸帽をかぶり、紺のジャンパーをまとったロシア軍の捕虜たちが、食堂に向かうため整列させられていた。
 通路の壁には、ウクライナの国の成り立ちや歴史上の人物を紹介したボードが掛けられていた。「ウクライナはロシアの一部ではなく、独立した国家だと捕虜に分からせるため」(ウクライナ国防省報道官)だ。
 食堂では4人掛けの机に座り、黙々とスプーンを口に運んでいた。この日は名物の赤いボルシチとミートボール入りのパスタ、サラダ、パン。味は悪くない。調理も捕虜が行う。全員、頭を丸刈りにしていた。
 作業場では看守が見守る中、捕虜たちがいすを作っていた。3人か4人の班になり作業を分担。小声で雑談し控えめに笑顔を浮かべる者もいた。
 傷病者の棟では松葉づえをついたり、包帯で腕をつったりした捕虜が集まり、ウクライナのテレビが戦況を伝えるニュースを無言で視聴していた。隣の娯楽室では年配の2人がチェスを指すのを、頬に傷を負った若者が静かに見入っていた。
 戦闘で左脚を失ったアレクセイさん(41)はベッドでロシアの詩人の本を読んでいた。「何が目的の戦争なのかはよく知らない。プーチン大統領の命令だから従うしかなかった」と話した。
 ウクライナ当局は施設の所在地を明かさない条件で公開した。

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