ウクライナ、反転攻勢「失敗」　米紙報道、想定外れ戦況が膠着

　【キーウ共同】米有力紙ワシントン・ポスト電子版は４日、ウクライナがロシアに対して６月に始めた反転攻勢について、当初の想定が外れて戦況が膠着し、全体として失敗していると特集記事で報じた。作戦方針や開始時期を巡り、最大支援国の米国と摩擦が生じていたと伝えた。同紙はプーチン大統領が支配地域を完全に吸収できると確信していると分析した。

ウクライナ東部ハリコフ州の前線を訪れたゼレンスキー大統領＝１１月３０日（ウクライナ大統領府提供・ゲッティ＝共同）

　同紙によると、ウクライナと米英両軍は反転攻勢のため、ドイツ・ウィースバーデンの米軍基地で８回の机上演習をした。米国は戦力を南部ザポロジエ州に集中させ、拠点都市メリトポリに南下してアゾフ海に到達し、ロシアの補給路を断つ作戦を主張。早ければ６０～９０日間で成功する可能性があるとみていた。
　だが、ウクライナはメリトポリに加え、メリトポリ東方のベルジャンスク、東部ドネツク州バフムトへの進軍を訴えた。東部に戦力を投じなければ、隣のハリコフ州を侵食されかねないと懸念した。ロシア軍の兵力を分散させる狙いもあり、結局、反転攻勢は３方面で進めることになった。
　開始時期を巡っても意見の相違があった。米国はロシアが防衛線を固めないよう、４月中旬の開始を期待。しかし、ウクライナは追加の武器供与と訓練を待つ必要があるとして、６月まで踏み切れなかった。米国は遅れにいら立ちを強め、その間にロシアは地雷などで陣地を固めた。
　６月に反転攻勢が始まったが、ウクライナは緒戦から大損害を被った。ザポロジエ方面に展開した第４７機械化旅団は反転攻勢開始から２４時間で約１４キロ南下してメリトポリに通じるロボティネに入り、４日目には奪還する計画だった。しかし、奪還には１２週間を要した。